その3

2003.04.06 Sunday

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    小学校の教科書に出てきた「玉虫厨子(たまむしのずし)の物語」は有名であるが、レイモンド氏は1300年前(飛鳥時代)の玉虫を使った工芸品の代表作で今も色褪せず法隆寺に残るその「玉虫厨子」と究極の職人技をこよなく尊敬し愛している。
    彼は「ヤマトタマムシ」について30年間研究しているが、かなりの速度で数が減少している事を危惧している。
    確かに最近は島原でもタマムシを見なくなった。
    小学生の頃は虫かごによく入っていたものだ。
    絶滅危惧種がどんどん増えていく。
    最後に残るのは人間と蚊と蝿とゴキブリぐらいだろう。
    添付写真はタマムシをレジンに封じ込め研磨と装飾を施したものだが、30年間やっても成功率は6割ぐらいという。
    タマムシは長期間保存して内臓を注意深く除去し脱脂しながらレジンと混合するが気泡が発生したり、表面に脂分が浮いてきて白い皮膜を作ったりして失敗することが多いという。
    縮んでまるまった脚や触覚を広げ固定するのに数百本のピンを使うそうだ。
    光が当たる角度で文字通り「玉虫色」に変化する。
    飛鳥時代から1300年の時を越えてレイモンド氏の心を捉えた不思議な昆虫・タマムシ・・・・
    数万年後に人類以外の知的生物がこの作品を発見し「ホモ・サピエンスという自滅を自ら選んだ不可思議な種と同じ地層から出土した美しい工芸品」として人類の骨格標本の横に展示される時が来るのかもしれない。
    レイモンド夫妻は明日から三日間(7〜9日)、長崎市のホテル・「ホリデイ・イン長崎」で引き続き作品展。
    その後、三日間(10〜12日)、長与町のシーボルト大学前のカフェ・ド・ジーノ(風花)で休みなしの作品展をする。
    是非「眼の保養」も兼ねて観にいって欲しい。
    素敵な作品と素敵な夫婦に逢えるはずだ。

    その2

    2003.04.05 Saturday

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      レイモンド氏は考古学も深く勉強されていて自宅には考古学の書籍だけでも300冊以上あるそうだ。
      彼は金属探知機を駆使して趣味であちこち発掘調査をしているが、縄文、弥生から安土、桃山、江戸時代までの発掘したコレクションがかなりの数あるそうだ。(2〜3日では全部観れないという!?)
      しかし彼は墓地(古墳も含む)や神社、仏閣の跡地は絶対発掘はしないという。
      そこでは当時のかなり高価な埋蔵品が出て来るらしいが、「盗掘になります。」と手をつけず、もっぱら田畑の圃場(ほじょう)整備の時に「昔の捨てられたもの」を対象に発掘をさせてもらっているらしい。
      それでも考古学の学術体系を覆すような出土品もあるらしく、福岡博物館や京都大学の考古学の権威・森教授に尋ねても解答が出なかったものも多く持っている。
      大陸からの「渡来人」と「倭人」のコラボレーション(協働)でしか作りえない、そして現代の最新技術を先取りしたような多層構造の金属鍋もそのひとつという。
      「とにかく日本人は凄いんです」と力説するデイビス氏の話は尽きる事がない。
      1937年、米国・シカゴ生まれだが先祖はエチオピア人で奴隷として連れてこられたという。
      インカ文明もそうだがアフリカやアジア、オーストラリアなど、とにかく世界中の民族文化は大航海時代の欧米列強から略奪・破壊され、現在ほとんど残っていないという。
      レイモンド氏のDNA遺伝子の中にエチオピアの伝統工芸が息づいていることも充分考えられる。
      タマムシや古銭や真珠などをレジン(人工琥珀)に封じ込めた瞬間から酸化が止まり、長期間の日ざらし(紫外線放射)や火災にあわない限り半永久的にその輝きを保ちつづける。(瞬間的に「化石」を作ることになる。)
      レイモンド氏は自分の命を使って美しいものたちに恒久の命を与えることに悦びを感じているのかも知れない。
      添付写真は会場の作品の中から「メカジャ貝 or 青三味線貝」をレジンに封じ込め金箔を裏側にあしらったもの。
      自然が作った芸術にレイモンド氏が息を吹き込んだ、ため息の出る作品だ。

      その1

      2003.04.04 Friday

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        本日より「自然・美・創造展」が速魚川ギャラリーで開催されているが、レイモンド夫妻が会場に来られたのは朝8時半だった。
        実は夫妻が島原の宿泊予定のホテルに到着したのは今朝2時頃だったらしく(勿論事前に当日の早朝に会場設営をする連絡は来ていた)睡眠時間もそれほどないままに会場に来られたことになる。
        作品展に出展する為に作り貯めておいた作品が事前にかなり売れてしまい、慌てて不眠不休で作品作りをされたらしい。
        昨日までの3日間で合計8時間しか睡眠はとっていないそうだ。
        66歳になられるので少し心配だったが本人は非常に元気でパワフルだ。
        あいにく小雨の天気で来場者が少ないのではと心配したがかなりの人出だった。
        小生は店に一日中張り付いておらねばならず、会場に展示されているレイモンド氏の作品を観る事も出来なかった。
        金物店の自分のいる位置の真裏が会場なのでレイモンド氏と晶子夫人が観客に優しく丁寧に説明する声が聞こえてくる。
        3時頃になってやっと会場に人がいなくなったらしく話し声がなくなった。
        お二人とも相当疲れているはずだ。
        「自宅の方でしばらく休んでいてください」と声を掛けようかなと思っているとレイモンド氏が店の方にやってきた。
        店内の商品を観ながら話しかけてこられた。
        会場は晶子夫人に任せて1時間以上二人で話し込んだ。
        日本語や日本史、レジン工芸、伝統工芸だけでなくあらゆる事に非常に深い知識と熱い想いを持っておられ彼の話にどんどん引き込まれていく。
        ラリー・レイモンド・デイビス氏・・・・只者ではない。
        添付写真は会場に来られた武家屋敷の榊原郷土資料館館長・榊原先生とレイモンド氏のツーショット。
        古いというだけでどんどんものを捨てていく日本人と風潮に怒り、教員を退職後、私財を投げ打って武家屋敷に郷土資料館を建てられ多くの来訪者に日本人の生活史と心を訴えておられる。
        我々まちづくり仲間の精神的支柱でもあられる。
        当然、レイモンド氏と意気投合され日曜日の午前9時に閉館中の資料館を観せてもらう約束が成り立った。
        武家屋敷の水路なんてみたらレイモンド氏は仰天するだろう。
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