その2

2003.08.10 Sunday

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    彫刻などの立体作品を写真で表現するのは、小生みたいなド素人には至難の技である。
    平成8年に国土交通省の「街なみ環境整備事業」という補助事業を受け、平成9年に島原駅前通りが住民によるまちづくり協定・「七万石坂まちづくり協定」を締結、その後同じく平成12年に上の町通りが「上の町通りまちづくり協定」を締結した。
    国は住民主導の協定を結んでまちづくりに意欲的な区域の整備に費用の半分を補助しようとしている。
    これは戦後行われてきた国や県や市などの行政主導型の都市整備事業が必ずしもいい結果が出なかった反省の上で作られた施策である。
    法律や規制や前例を中心に動かざるおえない行政の弱点を補完するには住民の参加が不可欠な時代になりつつあるのだ。
    そこに住み生活をしている住民が自分の町の事を決め、自分の町をつくることに参加するのは当たり前と言えばそれまでだ。
    今回の野島泉里氏によるオブジェも「街なみ環境整備事業」の適用を受けて設置された。
    上の町住民と行政と彫刻家が同じテーブルに着き、喧喧諤諤(けんけんがくがく)と協議して出来上がったものである。
    歴史的な古い街並みの中に、湧水を使った自然を取り戻し、地元作家の芸術作品を設置していくことが大切であると考えている。
    京都の西陣では、人が住まなくなった古い町屋を多くの作家が借りて住み、アトリエやギャラリーにして再生運動を展開している。
    古い町や建物を大切にしながら、そこから最新の情報を発信していくスタンスは今後のまちづくりの方向性を示唆している。
    野島氏は随分悩み苦しんで原案を創り、住民に提示し、承認を得て制作に取り掛かった。
    数ヶ月をかけた制作工程でも、アフリカの「ベル・ファウスト」という石の持つ独自性と自分の持つイメージとの狭間で格闘してきたのだ。
    全体のフォルムも当初のイメージから随分変わってきたという。
    黒くて硬いアフリカの石は少しの手抜きも妥協も許してくれなかった。
    表面の研磨の粗(あら)を少しでも見逃すと、次の目の細かい研磨の段階で、あざ笑うようにその粗をクローズアップしてくる。
    部分だけ手直しなんてごまかしは効かないから、また最初に戻って全体の研磨のやり直しになる。
    また、研磨が進み、次第に表面の光沢が増してくると石が表情を変え、全体のフォルムとのバランス的な矛盾が浮き彫りになってくる。
    何度も出口なしの状態になり、絶望と希望、前進と後退の繰り返しを続けてきたらしい。
    まさしく「作品づくり」は「まちづくり」といっしょである。
    このオブジェのタイトルは「波紋(はもん)」と決まった。
    「波紋」は広がる、動かすを意味する。
    石の表面をピカピカの鏡面仕上げにしていないので、鈍く底光りしていて重厚な存在感が出ている。
    アフリカの石という先入観があるからか、サバンナの誇り高き原住民・マサイ族の美しい皮膚を連想してしまう。
    全体のフォルムからはいろんな想像が出来る。
    水面に波が広がっていくシーンや女性の裸体の曲線、植物の芽、男性のペニス、人の顔や立ち姿・・・・ 生命力に溢れた「動」を感じる。

    その1

    2003.08.09 Saturday

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      本日の早朝5時半からユニック車(小型クレーン装備のトラック)と彫刻家・野島泉里氏ら5名により、上の町・哲学の小径の入り口に例のオブジェが設置された。
      オブジェ本体が約500kgだから、台座石も含めると総重量は約600kgほどになるという。
      約2時間かけて設置作業は終了し、上の町に名物がまた一つ増えた。
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