猪原金物店・コラム明治10年に創業。九州で2番目に歴史の金物屋。
金物店の裏では喫茶店も営業しています。

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その1・「中村輪業」 12:44
「西有家町の須川港(フェリー乗場)の近くに、すごい人物がいます。近い将来、島原半島を背負って立つかもしれない男です。」と、島崎雄三氏から聞いたことがある。
かの有名な「タカラ・マーケティング」の本部長代行(ナンバー2)まで務めた島崎氏が絶賛するほどの人物が、西有家町にいる。
まだ、直接会って話をした事はないが、バイク・自転車屋を家業としながら、「中村輪業」というニュービジネスを立ち上げた中村耕一氏である。
中村氏は数年間の試行錯誤を経て、「軽CAR(カルカー)」というオーダーメイド方式のミニリヤカーを考案し、現在全国に販売網を広げている。
ユーザーとの徹底したコミュニケーションから生まれるカスタム・メイドのリヤカーなので、一台一台が、サイズ、システム、スタイル、外装などまったく異なり、【オンリー・ワン】の究極を実現したという感じだ。
しかも、商品は日に日に進化をし続けている。
先週、たまたま西有家町を通ったので、アポイント無しで店を訪れたら、残念ながら本人は大村市まで商品の配達で留守だった。
従業員の若い男性が「毎日が工作の時間みたいで、新鮮で楽しいです。」と話していた。
普通のメーカーみたいに、利益とコストダウンの数字ばかり見ているところは、製作現場は単純な繰り返しの作業しか現場の人間に求めない。
そして単純作業になればなるほど、いずれは機械に取って代られるという皮肉な運命をたどる事になる。
大量生産、大量消費の時代がいつまで続くかわからないが、すでに末路は見えている。
ユーザーから一番喜ばれる商品とは何か?
ユーザーからのオーダーメイドを、いかにコストダウンの努力をして価格に反映させるか?
短絡的な「合理化」をせず、働く側も楽しんで作れるシステムをいかに実現するか?
「中村輪業」は、それらのすべての答えを出しつつあるような気がする。
大手メーカーや大型小売店との競合は不可能なのだから、いかに賢明に【住み分け】をするかが、我々零細企業や地元小売店の生き残る道である事は、明確だ。
しかし、その賢明な【住み分け】が、わからないから、皆苦しんでいる。
そして、わからないまま廃業に追い込まれて消えていくのだ。
今ほど、従来の既成概念(常識や経験や知識)を疑ってかからなくてはならない時代は、かつて無かっただろう。
特に、小生も含めた40歳代以上の経営者は、高度成長時代やバブル経済という、人類史上、空前絶後の経済成長と好景気を身をもって経験してきている。(毎日が、右肩上がりのお祭り騒ぎだった。)
これは麻薬、覚せい剤常習者と同じで、一度経験するとなかなか抜ける事ができないトラウマなのだ。
あのような【特殊な時代】は、もう二度と、絶対に来ない。
例え、景気が上昇しても、ユーザー、つまり消費者は以前の消費者とは異なり、はるかに賢くなってきている。
インターネットやテレビ、雑誌などメディアの発達で、情報は即座に手に入る。
商店主や経営者よりお客の方が、むしろ知識豊富で勉強していることが多くなり、その上を行かないと、すぐにそっぽを向かれる。
そして、努力をしない経営者は、最後は「市場経済」という非情のリングから、退場を余儀なくされるのだ。
われわれ零細企業や小売店が、生き残るための賢明な【住み分け】をするには、「中村輪業」を始めとする【先行者】達の理念や方法論を学ぶことである。
ヒントは絶対にある。「先行者」を観察すると、共通する部分がある。
それは、従来の常識ではばかばかしくなるようなハンド・メイドの【面倒な仕事】を、楽しんでコツコツやっている点である。
合理化を急ぐ「企業」と、手作りを極めようとする「家業」の違いも、21世紀のキーワードかもしれない。
店づくり、商品開発、サービス・・・・コツコツ楽しんでやれるかどうか?
そして、その根底には、お客の喜ぶ顔が見えているかどうか?
出来そうで、なかなか出来ないのが現実だ。
われわれは過去の栄光に囚われ、すでに商売の基本を忘れ、鼻持ちならない「傲慢さ」を身につけてしまったからだ。
われわれ零細者は「合理的」という言葉と概念を、もう一度疑ってみる必要がある。
| 【先行者】 | - | - | posted by ino-haya - -
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