猪原金物店・コラム明治10年に創業。九州で2番目に歴史の金物屋。
金物店の裏では喫茶店も営業しています。

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第三回 「内田有二・作陶展」その6 17:09
内田夫妻に頼んで、会場での写真を撮らせてもらった(添付写真)。    内田氏は先にも触れたが、島原半島の丁度対岸にある熊本県玉名郡天水町(夏目漱石の小説「草枕」や草枕温泉で有名な所)で、島原の普賢岳や眉山を遠くに見ながら育ったそうだ。     奥様・千恵子さんは広島出身である。    二人の馴れ初めは今回聞きだすことが出来なかった。

 以下は、内田夫妻が日頃心にとまった言葉を記録しているメモ帳から抜粋した先人の言葉の一部である。

 「知る者は好む者にしかず   好む者は楽しむ者にしかず」  孔子

 「自然の中には【ゆらぎ】というものがある。   例えば、風でも均一ではなく瞬間瞬間で変化していて、    その変化が心地よい。    そういった【ゆらぎ】というものを知って、人生に取り入れ応用すると人生の味わいが深くなる。」

 「石臼でひいた粉というのも粒が同じ大きさにはならず、それで色んな風味がでて美味しい味になっている。」

 「我 事において後悔せず  いずれの時も別を悲しまず  自他共にうらむことをせず   一生において     欲心を思わず  善悪にうらやむことなし」  宮本武蔵

 素敵な6日間だった。    また来年のお盆過ぎに、「第四回 内田有二・作陶展」を開催することを約束してお二人は和歌山に帰って行った。(内田有二氏の住所は、和歌山県伊都郡かつらぎ町「有桃窯」)
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第三回 「内田有二・作陶展」その5 17:12
添付写真は、「油滴釉の鉢」。    「油滴天目(ゆてきてんもく)」というこの不思議な模様は、上薬として塗る釉薬(ゆうやく)に秘密がある。 内田氏の説明によると、釉薬には大きく分けて透明系(長石、石灰石が主で、ケイ石は20%未満)と不透明系(ケイ石は40%以上、藁灰などが含まれ、白濁、乳濁色)があり、この油滴天目を出すには、透明系の釉薬を使う。

 透明系の釉薬でも特に長石分を多く含ませた粘り気の強いものを使用する。   この粘り気が油滴天目を作る。    この粘度の高い釉薬に酸化鉄を10%弱入れたものを器に塗り、1250度以上の温度で焼くと、釉薬内のガスが抜ける時、表面に多くのクレーター(凹)が出来る。(粘度が低い普通の釉薬だと、ガスがスムーズに抜けてしまい、表面はツルツルになる。)

 冷めていく段階で、鉄の溶けた成分がそのクレーターの窪みに収まり、不思議な模様が出来上がる。    「油滴天目」・・・・何度見ても見飽きることがない。
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第三回 「内田有二・作陶展」その4 17:14
添付写真は、「鉄変釉花入れ」である。      陶芸家・内田氏の作品は、何らかの「道具」に属しているが、この花入れの自由な造形美と存在感は、むしろ彫刻の「オブジェ」である。    床の間やテーブルに置くだけで絵になりそうだ。    しかし、表面のいぶし銀のような渋い底光りとざらつきは、自然の花のたおやかさと対称的であり、見事に拮抗しそうだ。    また、挿す花によって万華鏡のように表情を変えるに違いない。 

 この作品も1300度という高温で焼かれ「窯変」によって出来上がった火の神の気紛れな「微笑み」である。        もう二度と永久に同じ作品は出来ないのだ。
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第三回 「内田有二・作陶展」その3 17:16
添付写真は、前日と同種の「鉄変釉茶椀」。    これは銀の強烈な色と光沢を放ち、眼が覚めるようだ。    表面の地割れもはっきりしている。    茶碗の底に別の物質がクレーターを作っており、1300度という高温の窯の中で起きる予測不可能な「窯変」の妙味を伝えている。

 この作品や刃物類などの「光モノ」の撮影は、小生みたいなオートカメラしか使わない素人カメラマンには非常に困難であり、今回も内田夫妻の協力を得ながら何度も撮り直してやっとピントが合った次第だ。    大崎氏がいてくれたら一発なのに・・・・。

 茶道の茶椀という形状が限定された状況の中で、作家達は無限の可能性を創造し続ける。   碁盤や将棋盤という限定された盤目の上で、勝負師達の無限の勝負パターンが展開される事と似ているような気がする。
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第三回 「内田有二・作陶展」その2 17:18
内田氏は昨年の9月から11月までの約3ヶ月間、アメリカ・カリフォルニア州サンディエゴの3会場において移動作品展を開催し、現地の市民に大反響を呼び成功を収められた。      内田夫妻は、後半の11月に約一ヶ月間、現地に赴いた。    多くのアメリカ人に陶器の作り方も体験してもらったそうだ。

 一昨年前にその話が持ち上がり、しばらくは悩んでおられたようだが一大決心のもと、勇気をもって実行されたという。    すごい決心である。   人間は生きているうちに、あるいはチャンスがあった時に具体的に動かなければ、身体が動かなくなったり死ぬ前にきっと後悔するだろう。  そしてほとんどの人は後悔するのだ。

 添付写真は、「鉄変釉茶椀」。    「鉄変釉(てつへんゆう)」という言葉は、内田氏が自分でつけた名前らしい。   窯の中で「火の神様」の力によって、釉薬に含まれた鉄分などが溶け出し変化して、不思議な色や効果をもたらした・・・という意味だろうか?    

 釉薬には天然の石の粉を使い、約1300度という高温で焼くことにより、釉薬に含まれる石灰、アルミナ、ケイ酸などが光沢を出し、鉄、マンガン、コバルトなどの金属分が色を出すのだそうだ。     これも、人間の計算では決して不可能な「火の神様」の仕事なのだ。

 添付写真の茶椀は、全体が金色、一部が銀色で、いぶしたように少し鈍い輝きを持っている。   表面の浅い皺(しわ)のような地割れにも深い味わいがある。     この器でお茶を飲んだらどんな味がするのだろうか?・・・・・
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第三回 「内田有二・作陶展」その1 17:19
昨日から熊本出身、和歌山在住の陶芸家・内田有二氏の作陶展が速魚川ギャラリーで開催されている。   会期は8月25日(木)まで。

 毎年8月のお盆前に、実家のある熊本県玉名郡天水町の草枕温泉「てんすい」で作品展を開催し、お盆が過ぎて島原の当ギャラリーで作品展を開催するのが恒例になった。   内田さんご夫妻は「仙人」のような人である。    優しく穏やかで礼儀正しく、ちょっとシャイで朗らか・・・およそ俗っぽいところが見受けられない陶芸家である。

 内田氏も当店ゆかりの作家達と同様に、相手の事を第一に考え、自分の事は最後に回すという非常に頭の下がる人格者である。   街なかで、ややもするとすさみがちな小生の魂をきれいに洗い流してくれる気がする。    作品にも内田氏の美しい魂がにじんでいるようだ。

 添付写真(中央)は、「トルコブルー印刻皿」という皿。    皿の色のトルコブルーは、中近東つまりペルシャあたりの砂漠の砂から抽出されたもので、アルカリ成分やナトリウム、ガラス質、銅などが含まれており、トルコブルーの色は、主にその中の銅が発色したものである。

 「印刻皿」とは、製作工程において、型抜きしたばかりのまだ柔らかい粘土の皿に、化粧土という白い粘土の液を塗った後、いろんな形の印を押し付け「印刻」をするところからきている。    その後、いったん素焼きする。

 窯出しして、その刻印(凹の部分)を「ゴム液」という剥離(はくり)しやすい防護液で埋めた後、全体にトルコブルーの上薬を塗る。    上薬が乾いた頃、刻印部の防護液を丁寧にはがすと、その部分だけにはトルコブルーがついていないことになる。  その刻印部に丁寧に透明の上薬を塗り込んでいく。    そして再び、1250度位の温度で窯焼きして完成する。    非常に手のかかった皿であるが、トルコブルーと花びらの印刻の白色とのコントラストがさわやかで美しい。
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