猪原金物店・コラム明治10年に創業。九州で2番目に歴史の金物屋。
金物店の裏では喫茶店も営業しています。

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【遊彩工房】その7 14:31
いよいよ梅雨が明け、今年も暑い夏が始まる。 今月1日に宝塚在住の手描き友禅作家・尾崎尚子氏からメールが届き、夏の風物詩である「ほおずき」と「金魚」の作品が添付されていたので紹介したい(写真)。 この優雅で奥ゆかしく繊細な表現は、尾崎氏の卓越した技術と豊かな感性によるものであるが、同時に「日本人に生まれて良かった」と観客に思わせてしまう不思議さがある。  


猪原様
梅雨真っ盛りの今日この頃ですが、暦は早くも半年を過ぎました。
このところのブログを読ませていただき、近かったら見に行くのになあ、と残念でなりません。
山下純弘さんとサヴィニャック展のブログです。
すごく魅力的な方ですね。
読みながら、白洲次郎を思い描いていたらそのように書かれていたのでびっくりしました。
ファンが多いのがうなずけます。
墨で描かれたモード画もいいですね。
ブログにフランスのことが書かれていましたが、今こそ日本の工芸が伝統的な物だけでなく形を変えて外に出て行くときだと思います。
日本人の感性ってとても繊細だし作品にもそれが表れていると思うので、もっと海外で評価されていいと思うんですけどね。
先日デパートでの展示会で骨董を扱う方と少し話をしていて、日本の染織は贅沢だ、水が豊富にあるのでどんどん使うが、アジアの山岳地帯の染織は限られた水で染めるので刺繍が中心になる、というようなことを話されていました。
確かに染めにしろ、織りにしろ、日本の染織は水がなければ成り立ちません。
そういう意味では確かに贅沢な染織だし、そういう国だからこそ生まれた染織だと思いました。
それが今日本では活かされていない気がします。
もしいつかプロジェクトを組まれることがありましたら、さざえも仲間に入れてやって下さいませ。

思わず素敵なブログだったので、興奮して書いてしまいました。
伊勢丹ではまだヒット一本しか出ていませんが、何とか忘れられないよう今月もそろそろ持っていかないと・・・。

金魚の額は現在展示されている(と思われます・・・先月もって行ったもので、まだ確認していません^^”)
朝顔のタペストリーと金魚だったのであまりにオーソドックスすぎて、他の作品とかぶりすぎてしまいました。
もっと頻繁に足を運べばいいのですが、月一行くのがやっとで。
もっと勉強しないとだめですね。

では

さざえ



 
  以前送った「鉄線」と「鯉のタペ」は伊勢丹で写しましたのであわせて送ります。 ではまた明日から天気が崩れそうですが、どうぞご自愛ください。
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【遊彩工房】その6 10:29
宝塚在住の「遊彩工房」主催・手描き友禅作家・尾崎尚子氏から昨年11月にメールが届き、一枚のタペストリーの画像が添付してあった。 いつかコラムに紹介しようと思っていたのであるが、今日になってしまった。

尾崎氏の描く花鳥風月の造形と色彩は、従来の日本の伝統美を超越した何かがあるような気がする。 「妖怪」シリーズの新作も次々に誕生しているが、今回の「青龍」の作品には、彼女の作家としての情念が大胆に表現されているように感じる。 燃えるような日輪の中央に前方を睨む龍を配する思い切った構図は、「決意」あるいは「不退転」という言葉をイメージしてしまう。 この迫力は一体どこから沸いてくるのだろうか?・・・・ 

       来年は辰年ですが自分の思いも込めて来年こそは龍に乗って
       日本中が元気になるよう僭越ながら「青龍」と名づけたタペストリー
       を作りました。 また来年も宜しくお願いいたします。
                                   さざえ




 
| 【遊彩工房】 | - | - | posted by ino-haya - -
【遊彩工房】その5 17:36
昨日、梅雨が明けていきなり痛いような強烈な太陽光線を肌で感じた。   夏だ・・・・
昨夜は、速魚川劇場の第三回【宴 水回廊】が夕方7時より開催された。   以前より当店で預かっていた龍をテーマにした大作 『メール・ストローム(大きな渦)』 お披露目の絶好のチャンスが訪れた。

夕方5時に福岡から到着した書家・龍一郎氏と、この『メール・ストローム』をステージの背景に張り、続いてギャラリー内の背景には、龍一郎氏制作の速魚川劇場専用背景幕を数年ぶりに張った。   二人の作家によるこの二つの作品を背景にして、【宴 水回廊】がいよいよ開催されることになった。


以前、コラムに作品の一部分を紹介した今回の大作 『メール・ストローム』は、手描き友禅作家・尾崎尚子氏によるものだが、この大作ができるきっかけになったのは、速魚川に集まるクリエーター達のエネルギーに触発されて、と尾崎氏は語っている。   再度、その文を以下に紹介する。

【  (中略)  実は私も昨年送っていただいた本「信平走る」やCD「香音天」を聞きながら自分のイメージで、ある大作を作りました。
はじめ『龍』をイメージして何か作れないかと思ったのですが、ストレートすぎるかと思い、色々描いているうち渦のようになり、大きなうねりのようになりました。
自分ではイメージのままで描いたのでなかなか言葉には表現できませんが、「渦巻く」というか「竜巻」のように舞い上がるイメージはありました。
それもひとつではなくいくつもの渦がひとつになって舞い上がる、というような・・・。
 (中略)   いつか「速魚川劇場」の幕にでも使ってください。 】


速魚川劇場【宴 水回廊】の一番バッターは、中学3年生の東海志(あずま・かいし)君のギター演奏。   東君が中2の昨年、速魚川ギャラリーで開催された天才ギタリスト・谷本光氏のコンサートで感動し、それ以来一日に十数時間もギターの練習を積んできたのだ。   

彼は、谷本光のCDと演奏映像のDVDを繰り返し視聴して、その中の数曲を完全にマスターした。   まだ15歳ながら、彼の演奏に観客は驚き感動の拍手を送った。   同席していた長崎のプロピアニスト・松尾薫氏は「彼は3曲演奏したが、一度も音をはずさなかった。  驚異的なポテンシャルを秘めている。」と絶賛した。  

今や世界の注目を集めている谷本光氏の才能を見出し、長崎にいち早く誘致したまつを氏とthom氏、それとタイアップして島原に誘致した散人氏、それが速魚川ギャラリーコンサートに繋がり、東君の才能に火をつけた。   尾崎氏が語っている「いくつもの渦がひとつになって舞い上がる」イメージがそのまま実現した。


次に登場したのは、漫画家で吟遊詩人・岡野雄一氏。   岡野氏の吟ずる長崎弁の唄は、優しく暖かくもどこか物悲しく、また時には激しく、そしてなぜか懐かしい気持ちにさせてくれる。   彼の漫画を見て何度も涙が出た事がある。  彼の唄や漫画の底辺に、我々日本人がのた打ち回った『昭和』 があるからかもしれない。

岡野氏には大変申し訳ない写真を添付してしまった。  次の朗読劇「信平走る」の本番直前だったので、緊張して撮影に集中できなかったから、と言い訳をしておこう。   プロ写真家・松尾順造氏が例によってステージの見事な写真を送ってくれる予定なので、それまではご勘弁を!!


尾崎尚子氏がこの巨大な手描き友禅の作品を制作している時、香音天の音楽を聴きながらイメージを広げたという。   従って、『メール・ストローム』には香音天の音楽も染め込まれている事になる。    その作品を背景に、香音天が生の演奏をする・・・・なんか不思議な感覚になってしまう。

観客の一人は「ステージの背景に張られている作品には圧倒されました。  演奏と背景の幕が一体になった大きな力強い渦が迫ってきて、自分も巻き込まれるのではないか? と錯覚を起こしたのです。」と語っていた。


尾崎氏は今年4月に、ご主人の仕事の関係で三田市から宝塚市に転居した。   宝塚市には「手染め友禅」の教室などはないので、今後この新天地でも友禅の世界を広めていきたいと意欲を燃やしている。

そして6月には早速、宝塚南口にあるギャラリーで四日間作品展をしたそうだ。  以下は尾崎氏のその時の報告メールである。

ちらでも染色の教室をしようと思い、とりあえず発表の場を探していましたが、たまたまキャンセルのあった場所に飛び込み、開催しました。
ただ、知り合いも少なく宣伝もほとんどしないでやったので期待薄でしたが、見てくださった方は「癒される」「友禅でこんなのができるのね。」など、うれしい反応はいただけました。
(中略)  まずは、知ってもらうことからと思っているので、初めの一歩かなと思っています。
昨日は宝塚の山本と言う場所で市が管理している「あいあいパーク」(ガーデニング用品や植木を扱う店で2階にカルチャー教室がある)で講師登録をすることができました。


今回「龍」の作品を2点作りました。
1点は信玄袋。
もう1点は「染め額」です。
こちらは7月に宝塚のギャラリーでグループ展示するのですが、夏をテーマに作らなければならなかったのでむちゃくちゃこじ付けで「真夏の夜の夢」と題をつけました。

全て順調と言うわけではありませんが、少しずつ宝塚での生活基盤を固めつつあります。  

 
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【遊彩工房】その4 19:22
昨日は衆議院選挙の投票日だった。   480議席のうち、民主党308議席、自民党119議席・・・・国民は「変化」を求めたようだ。   政権は自民党から民主党に移る。  鳩山氏を中心にした新政権は、新しい統治形態を作り上げ、マニフェストに基づいた政策を実行しなければならない。   郵政民営化の前回より今回の「変化」は、小選挙区制の意味を国民自身が身をもって理解したような気がする。   主権は政治家や官僚、一部の既得権者たちにあるのではなく、憲法に謳ってあるように国民自身にあり、今後も政権を代えようと思えば国民自身で投票により簡単に代えられるということだ。
従来のように、金品や飲食等を武器とする《組織型選挙》の終焉を肌で感じた政治家が多かったのではなかろうか?

ちなみに憲法の前文には以下のように書かれている。

日本国民は、正当に選挙された国会における代表者を通じて行動し、われらとわれらの子孫のために、諸国民との協和による成果と、わが国全土にわたって自由のもたらす恵沢を確保し、政府の行為によって再び戦争の惨禍が起こることのないようにすることを決意し、ここに主権が国民に存することを宣言し、この憲法を確定する。  

そもそも国政は、国民の厳粛な信託によるものであって、その権威は国民に由来し、その権力は国民の代表者がこれを行使し、その福利は国民がこれを享受する。   これは人類普遍の原理であり、この憲法は、かかる原理に基くものである。   われらは、これに反する一切の憲法、法令及び詔勅を排除する。


さて、手描き友禅の【遊彩工房】シリーズも第四回。   完成まで20数工程を要する日本の伝統工芸【友禅】の作業工程後半部を紹介する。  


               ★ 上の写真は、【地入れ】に使用する『豆汁(ごじる)』と刷毛。

              大豆粉を1時間以上水につけてそれを布でこし、その中にふのりをいれたものです。
              これを、伏せ糊をした生地(前の工程で紹介)に引きます。



                   ★  【 地入れ 】をしている場面。

              これは帯ですが1丈3尺(5メートル弱)の長さのものを表、裏、表と3回引きます。
              これをすることによって、地色を引くとき‘むら’になりにくくするのです。



                             ★ 【 地染め 】

                 地入れがかわいたら、生地に地色を引きます。
                 今回は紺色。   地染めは表だけ。  2度引きしています。



                     ★ 【 地染め 】をした後の生地。

               地染めをした後、京都にある業者さんに【蒸し】と【伏せ糊落とし】をお願いする。
              (小物や染め額程度の物は自宅で作業しますが大きな物は蒸し場がないので
               業者さんにお願いします。)

                     ★ 【 蒸し 】

               大きな蒸し器の中で約30分〜40分蒸します。
              (地色の濃いものは2度蒸すこともあります)

                     ★ 【 糊落とし 】

               柄の部分に地色が入らないように伏せていた糊を水洗いして落とします。
               この時初めに置いたゴム糊は水では落ちないのでそのまま残ります。

               伏せ糊を落とした状態で帰ってきた生地にもう一度豆汁を引きます。
               初めの豆汁は地色をむらなく染めるために引いた物ですが、
               2度目の豆汁は友禅の色さしをするとき綺麗に色挿しができるようにするためのものです。
               初めと同じように表、裏、表と豆汁を引きます。



                          ★ 【 色挿し 】

                   豆汁を引いた後、柄の部分に色をつけます。
                   色は薄い色から順につけていきます。
                   色挿しをするときは下から電熱で乾かしながら色をつけます。
                   早く色を乾かす為と、色のにじみ(滲むことを、染色用語で「泣く」といいます。)
                   をふせぐためです。



                        ★ ゴム糊が落ちた状態。

         色挿しが終わったら、再び業者さんに【蒸し】と【ゴム糊落とし】に出します。
         地色を引いた時と同様に、色挿しの部分も色止めが必要なので、もう一度蒸しにかけます。
         その後、揮発系の溶剤につけてゴム糊を溶かして落とし、乾かしたあと、水洗いをして、また乾かします。
         そして、ゆのし(アイロンのようなもの)をして、生地の巾を整えます。
         ここまで、業者さんがしたものを、最後に金泥などで、仕上げます。



                       ★ 金などで仕上げたもの

              一応、これが友禅の全工程です。
   途中、少しはしょっている所もありますが、こういう工程を経て、着物や染め帯ができるのです。
   あと、刺繍がはいったり、紋がはいったりすることがありますが、それらの工程を経て出来上がる着物は
   どうしてもある程度のお値段がかかるのをご理解いただければうれしいです。
   (ただ、必要以上に値の張るものは首を傾けざるをえませんが。)

             また、ご意見、ご感想などお聞かせいただけるとうれしいです。


以上が、尾崎尚子氏による【手描き友禅】制作工程の紹介である。  多忙な尾崎氏に無理を言って写真撮影や説明文の送付を依頼し、彼女が快諾してくれたことで可能になった。   氏には深く感謝している。  当コラムにどうしても掲載したかった理由は以前にも書いたが、世界に誇る日本の伝統文化が次第に消滅しようとしている状況の中で、尾崎氏のように若くしてその伝統を継承し未来に残そうとする熱意に感動したのである。

嬉しいことに、尾崎氏の取材記事が角川書店の【怪】に掲載された。  『世界で唯一の妖怪マガジン』と紹介されている。  マニアックではあるが、内容は実に格調の高い本格的なマガジンである。   以下に紹介する。



上の写真は『世界で唯一の妖怪マガジン』の【怪】。   定価1500円(税別)。   かなり分厚い本だ。   島原市内の書店:tutaya(ツタヤ)には置いてなかったので注文した。   人口10万人以上の都市部や、もちろん紀伊国屋書店などには置いてある。   盆休みで帰省していた東京在住の次女・小夏に見せたところ「あぁ、【怪】ね。  面白い本だよ。 よく本屋で立ち読みする。」と言っていた。   若者にも人気のあるマガジンらしい。


手塚治虫の『鉄腕アトム』と国内の漫画界の双璧をなす『ゲゲゲの鬼太郎』の著者:水木しげるを主幹にした雑誌であるが、荒俣宏や京極夏彦がしっかり脇を固めている。  表紙(写真)には、手描き友禅職人・作家:尾崎尚子の名前も掲載されている。




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【遊彩工房】その3 16:25
世界が認める日本の伝統工芸が急速に衰退の道をたどっている。   在来工法の木造建築や各種芸術芸能など、1400年をかけて築いてきた日本の文化も、戦後、アメリカの支配戦略によってその多くが消滅した。   しかしグローバル化の波は、皮肉にも日本の伝統文化の素晴らしさを世界中に認めさせた。   ところが当の日本人が変わってしまった。   かつて、当店で作品展を開催したラリー・レイモンド・デイビス氏は、小生に「日本人は日本の文化を好きではありません」と半ば哀しそうに呟いた。  日本の美に惹かれて日本に移り住んだ多くの外国人作家たちのため息が聞こえてくる。

「手描き友禅」の作家・尾崎尚子氏に頼んで、友禅染が完成するまでの20数工程をコラムで紹介してもらうことになった。   



             ★ 上の写真は【 青花写し 】という最初の工程。
 
初めに、図案となる下絵を生地に写します。  この時、ガラスのテーブルの下にライトを置いて青花というもので生地に描きます。   写真は下絵を写しているところ。  右に見えるのが、青花。(和紙にしみこませたもの)

  ※ 「青花」・・・露草の花のしぼり汁を和紙にしみこませた物。  水をつけながら、筆で描く。
           後で、水洗いしたとき描いた絵は消える。



          ★ 上の写真は、次の工程【 糊置き 】に使用するゴム糊(左)と筒(右)。

  揮発液でうすめて描く。  筒は和紙に柿渋をぬって強くしたもの。

 ※ 「ゴム糊」・・・・友禅の柄に色を付けるとき、色が外に出ないようにするためのもの。   筒の先に小さな先金をつけ、ゴム糊をその中にいれて絞り出す。  これを、《糸目》といいます。  昔は本糊を使いましたが、今はほとんど揮発性ののりです。

(加賀友禅ではまだ本糊を使っていますが、京友禅でも「赤糸目」といって本糊を使うこともあります。  この場合工程が違ってきます。)


           ★ 上の写真は、【 糊置き 】の工程。 

       ゴム糊を引いている所。  《糸目を引く》と言われる。  このゴム糊が最後にとれて白く線になってでてくる。


ここからは余談ですが、この糸目を引いているといつも「さぶ」を思い出します。(山本周五郎の代表的な小説「さぶ」・・・主人公は、栄二、さぶ、おすえ、おのぶ。  京都の学生時代に劇団立芸の12月本公演として上演された作品でもある。)

最後のほうで仕事がうまくいかない栄二におのぶが言うせりふ。

「さぶちゃんが一生懸命糊をしこむ。  栄さんはそれを使って仕事をする。  仕事がうまくいけば栄さんはほめられるわ。  でもそのとき、糊をほめてくれる人がいるかしら。」

栄二の仕事は友禅で言うと「色さし」(色をつける作業)。   さぶの仕事はこの糊置き。

地味な作業ですが、これが最後まで残り、またこれが細くひかれないと落としたときにきれいに見えません。

京友禅はこの作業が分業化されているため、「さぶ」や「栄二」のような本職さんが着物を作っているのです。
そしてそのような職人さんの賃金が安いために、後継者がなく(継ぎたくても生活していけないため)どんどん高齢化してこの技術がいつ途絶えてもおかしくない状況にあります。
また作り手だけでなく、道具を作る職人さんもへり、ますます危機的状況にあります。  (道具もすべて手作り)

まだまだ本職さんにはかないませんが、自分の友禅を少しでも残していきたいと思っています。



                 ★ 上の写真は、【 青花落とし 】の工程。

           自宅の風呂場に水をためて、その中に生地をつけます。
           およそ15分位水に浸けておくと、青花は水に流れて消えます。
           その後、流水であらい、外に張って乾かします。

           最近は「本青花」から「科学青花」に変える事が多くなりました。
           理由は工程を短縮するためと、「本青花」が少なくなり高価なためです。
           ただすぐ糊を引けるものはいいのですが、着物のように柄が多いものは「科学青花」の場合
           途中で薄くなり消えてしまうことがあるので、用途により変えています。

        ※ 本青花は水洗いで落としますが、科学青花は水洗いしなくても蒸すことにより消えます。



                 ★ 上の写真は、【 伏せ糊 】の工程。

            ゴム糊とちがい、本糊を使います。
            ねば糊といって餅米から出来ています。  水でねばりを調節します。
            ゴム糊で描いた柄の上に、この伏せ糊を全体にぬります。
            そうすることによって、生地の地色を引いたとき、柄のなかに色が入るのを防ぐのです。



                 ★ 上の写真は、【 糊伏せ 】が完成した様子。

            伏せ糊が終わると「泡消し」といって手箒で糊の上をさっとはきます。
            これをすることによって、糊の中にたまっていた空気を抜きます。
            その上から、挽き粉をかけます。
            これは糊の水分をとったり、他につくのを防ぐためのものです。



上の写真は、手描き友禅の《信玄袋》。   尾崎氏の「妖怪シリーズ」の中から、タイトルは【扇妖怪】。

                  ★ 信玄袋 【扇妖怪】 15000円  

この作品【扇妖怪】と、下の作品【がりょうびんが】を作者がメールで送ってきてくれたのには《あるエピソード》があるからだった。   以下に尾崎氏の文章を紹介する。    ご本人の悲痛な魂の叫びが聞こえてくるようだ。


以下は5月に角川書店の「怪」の編集者の方が東京から2人来られて取材を受けたあと駅まで車で送っていった帰りの出来事をミクシィの日記に書いたものです。  添付写真はそのとき買ってもらった「がりょうびんが」の小風呂敷と「扇妖怪」の信玄袋です。  ちなみに「怪」は今月(7月)発売予定ですが・・・


昨日の夕方雑誌社の方を駅まで送っていって、ホット一息、サア帰ろうとと鼻歌交じりで車を運転していたところ、信号を曲がったところで

「おくさーん、ちょっと止まってー。」

へっ!?

見ると白バイさん。

なんで?私何かしましたー????

まったく身に覚えなく・・・

「おくさん、いまそこの駅のロータリーで一時停止しなかったねー。」

えええええーーーーーーー!!!

「左右確認しました!減速しました!!!」

「左右確認、3秒止まって。最低1秒でも止まったら良かったんだけどねー。」
「ちょっと免許証見せて。」

ええええええーーーーーーーーーーーーー!!!!!

うそやろーーーーーーー!!!

「はい、じゃあ、7000円の罰金ね。」

えええええええええええーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!

3秒停止なしが7000円の罰金やなんて。
しかもなんでそんなに嬉しそうな顔すんの〜〜〜〜!

さっきカメラマンさんが買ってくれた小風呂敷きの代金が・・・

「がりょうびんが」が・・・・

とんでいく〜〜〜〜〜〜。

あんまりやー。

あんなとこで、一時停止している人、見たことないぞーーー!

あー、今日銀行にいってこなあかん・・・

うれし、かなしの一日でありました。。。




上の写真は、手描き友禅の《小風呂敷》。    「妖怪シリーズ」より、タイトルは【がりょうびんが】。 

               ★ 小風呂敷 【がりょうびんが】 7000円

迦陵頻伽(がりょうびんが)とは、仏教で雪山または極楽にいるという胸から上が人、下が鳥の姿をした想像上の鳥。   日本の仏教美術では「菩薩の顔に鳥の身体」という姿で描かれることが多く、極楽の妙なる声で鳴くと言われている。



8月に京都の東映太秦映画村で毎年、角川書店「怪」のイベント《妖怪大学校》があるのですが、今回こちらで「妖怪を染めるー友禅体験教室ー(仮)」をさせてもらうことになり、そちらにも妖怪作品を置かせてもらうことになりました。

(普通自宅で体験教室をするときは「花」を題材にしているのですが、今回「妖怪にしてほしい」という要望で、初心者にもできる妖怪、ってなんだ? と現在資料と格闘中です。 簡単すぎても面白くないし、2時間でそこそこ満足してもらえるような妖怪を現在検討中です。)


    ★ 角川書店の「怪」は、7月22日(水)全国発売予定。  尾崎氏の取材記事も掲載されている。

         角川書店『怪』7月22日(水)vol.0027
         http://www.kwai.org/


    ★ 京都東映太秦映画村のイベント《妖怪大学校》の「妖怪を描くー手描き友禅体験教室ー」は、
      8月23日(日)開催。  尾崎氏が講師である。    
      関西方面にお住まいで興味のあられる方は、是非どうぞ!!


【妖怪、百鬼について】 投稿者:田屋敷酒散人 投稿日:2009/07/17(Fri) 15:04

 「手描友禅」作家の尾崎尚子さんの制作過程の様子が
 コラムに出ている。 興味深く見ている。

 さてファンタジーはなにも西欧の独占ではない。
我が国にも世界が注視する画家が古くから存在した。
いやむしろ日本こそ凄腕の書き手がいたのだ。
 まずは土佐派の中興の祖といわれる土佐光信(1434〜1525)
描く「百鬼夜行絵巻」。 おどろおどろの妖怪のパレードである。

 その後光信の技を踏まえ、妖怪を系統的に編集し直し、
陰・陽・風の三巻からなる「画図(かず)百鬼夜行」を制作した
のは狩野派の絵師・鳥山石燕(せきえん)(1712〜1788)である。
石燕は約五十種にも及ぶ妖怪に「名」を与えている。
彼の手で世に出た妖怪も多い。妖怪百科の嚆矢と云われている。

 前編  木魅(こだま) 天狗(てんぐ) 幽谷響(やまびこ)
     山姥 山童(やまわろ) 犬神白児(いぬがみしらちご)
     猫また 河童 獺(かわうそ) 垢嘗狸 窯鼬 
     網剪(あみきり) 狐火など、実におもしろい。


尾崎尚子 >
散人様、いつもコメントありがとうございます。

散人さんが書かれている「土佐光信伝 百鬼夜行」が、私の妖怪との出会いでした。

室町時代以降江戸時代にかけて色々な作家が妖怪を描いていますが、五感で感じる恐怖(暗闇であったり雷鳴であったり)を形にするセンス(想像力)は現代人には失われてしまったのではないかと思うくらいすばらしいです。

今回8月に友禅の「体験教室」をさせていただくのに改めて妖怪の資料を見ていますが、江戸時代になるとかなりキャラクター化されて畏怖の存在から身近な存在に変わりつつあるように思います。
(「どふもこふも」や「きなこ坊」など、どこが妖怪?と思われるものもあります。)

この世界、深みにはまるとなかなか抜け出せません・・・。 (7/17-20:11)
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【遊彩工房】その2 18:53
深夜11時半頃に酔っ払って自宅に帰ってきたら、駐車場に繋がれている愛犬ジンが小躍りして出迎えてくれた。
尻尾を思いっきり振って身体を摺り寄せ、愛撫する手をペロペロなめる。  「寂しかったんだね」とつぶやいて、消灯された真っ暗な玄関に向かおうとすると速魚川の石橋のたもとで何かが光っている。   ホタルだった。  



上の写真は、タペストリーの大作「メール・ストローム(大きな渦)」の部分写真。(全体のサイズは、228×180センチ)
作者がこの作品を作るきっかけになったのは、当コラムの多くの作家に刺激を受けてとのことだった。  以下は作者のコメントである。



速魚川には色んなアーティストさんが来られるんですね。

掲示板から一度、谷本光さんのギターを拝聴しました。
ほんとにすごいテクニックですね。
それを本人がとても楽しんでいるのがよく分かります。
きっとライブはすごかったでしょうね。

掲示板に散人さんが
「速魚川をイメージして色んなアーティストが作品をつくっている。」
と書かれていました。

実は私も昨年送っていただいた本「信平走る」やCD「香音天」を聞きながら自分のイメージで、ある大作を作りました。

はじめ『龍』をイメージして何か作れないかと思ったのですが、ストレートすぎるかと思い、色々描いているうち渦のようになり、大きなうねりのようになりました。

またそのうち全体の写真を送ります。


『龍』と『水』のエネルギッシュでダイナミックなイメージが見事に表現されている。  実物を見ると迫力で圧倒されるだろう。 しかも、手描きの友禅染である。  どれだけの時間とエネルギーがかけられたのだろうか?・・・   いずれ、本物を見たいものである。   と・・・早速、掲示板に、作品「メール・ストローム」についての散人氏の書き込みがあったので以下に紹介する。

 
【遊彩工房】  投稿者:田屋敷酒散人 投稿日:2009/07/03(Fri) 13:28

 コラムが充実してきている。 「イノハラ」さんには、他にない、ましてや百円ショップには絶対にない、
「感性商品」を並べてほしい。
そんななかで、今回のコラム「遊彩工房」さんの「友禅染」が紹介されている。
「信平」や「香音天」に触発されて「タペストリー」の大作が冒頭にあるが、「龍」のイメイジである。

日本で最初のデザイナーは尾形光琳・乾山の所謂「琳派」で
あると散人は確信している。「さざえ」さんのタペストリーも
私の感じでは「琳派」の流れがあると。光琳の紅白梅図屏風の
左側の川の渦を思い浮かべた。あの「渦」をもっと接写し、
複雑化するとあのようにダイナミックな表現になるのだろう。
全体像を見たいものである。

 中国古典「易経」によると、龍の成長には五段階あるらしい。
まずは「潜龍」は雌伏のとき、「見龍」は見聞を広める時。
「乾龍」は努力の時、これが一番永い。 そして「躍龍」
天に舞い上がる直前の時、最後に「飛龍」となる。

 推測ではあるが、「さざえ」さん描く「龍図」は部分を観ると、「躍龍」を描こうとしているのではないか。
天に舞い上がる直前の期待と喜びに満ち溢れた龍の躍動感が表現されているのだろう、きっと。


さざえ > 田屋敷酒散人様
早速ご感想をいただきありがとうございます。

私の友禅はいわゆる「手描き友禅」といわれるもので、本来着物や染め帯に描くものですが、日常に着物を着ることがすくなくなった現在、今の生活空間に手描き友禅を残したいという思いから、着物や帯のほかに染め額やタペストリーなどを作っています。

今回ご紹介いただいたタペストリーはコラムでも書いていますがこちらの「速魚川」に集われる皆さんのエネルギーに触発されてこの春制作しました。

勇んである公募展に出品しましたが、残念ながら落選。

こちらでいい報告ができなかったのは残念ですが、このようなお褒めの言葉を頂き感激です。

「龍の成長」というものがあるというのははじめて知りました。
自分ではイメージのままで描いたのでなかなか言葉には表現できませんが、「渦巻く」というか「竜巻」のように舞い上がるイメージはありました。
それもひとつではなくいくつもの渦がひとつになって舞い上がる、というような・・・。

実際はまだまだ「乾龍」、「努力の時」ですが・・・。

いつか「速魚川劇場」の幕にでも使ってください。 (7/3-16:13)

 

上の写真は、手描き友禅の《信玄袋》   タイトルは【葵(あおい)】    源氏物語の「葵上」をモチーフにしている。    絹の感触は、実物を目と手で確かめた時に初めてその素晴らしさがわかるものだ。    日本人特有の繊細な美意識とこだわり、そして美しくも哀しい物語・・・・ 

            ★ 手描き友禅の信玄袋 【葵】   15000円  (実物は店内に展示販売しています。) 



上の写真は、《鉄線》を描いた暖簾(のれん)    鉄線はクレマチスの一種。    つるが鉄線のように強いことから命名されたという。    しかし、うっとりするほど美しい・・・空間とのバランスも絶妙だ・・・凄い表現力である。
作者のプロフィールを以下に紹介する。  作家・尾崎尚子は生粋の【京女】である。

    1959年   京都市生まれ

    1979年   嵯峨美術短期大学卒

    1984年   日本染職学園卒

    1990年   第45回  新匠工芸展   入選   着物 【春のインベンション】

    1995年   第16回  三田市美術展  優秀賞  帯 【翁】

                       同      奨励賞  パネル 【海、そして夏の終わりに】

    1996年   第51回  新匠工芸展   入選   着物 【波のコンストラクション】

    1997年   第52回  新匠工芸展   入選   着物 【秋の刻(とき)】

    2000年   第55回  新匠工芸展   入選   着物 【行秋】

    2001年   第39回  工美展     サンテレビ賞  パネル 【波間の夢】

    2001年   第56回  新匠工芸展   入選   着物 【風・雅・奏】

    2002年   第23回  三田市美術展  市展賞  パネル 【コンポジション機曄

    2002年   第40回  工美展     40周年記念特別賞  タペストリー  【コンポジション供曄

    2002年          県展     入選   タペストリー  【波動】

    2003年   第53回  西宮市展   西宮芸術文化協会賞   タペストリー  【コンフュージョン】

    2003年   第41回  工美展   サンテレビ賞  パネル  【冬おこし】

    2004年       2004京展    入選   タペストリー  【レイン・ドロップス】

    2005年   第43回  工芸展     入選   タペストリー  【海遊】

    2005年   第60回  新匠工芸展   入選   タペストリー  【煩 −HAN−】 

    2006年       2006京展    入選   タペストリー  【森羅】 

     ※ いずれの作品も、20に及ぶ友禅染の行程を作家がほぼひとりで行っている。 


               兵庫県三田市ゆりのき台2−13−7

               【遊彩工房】  尾崎尚子

               E−mail :  yu_sai@ares.eonet.ne.jp



        ★ タペストリー 【 つわぶきに蛙 】  25000円  (作品は店内に展示販売しています。)

上の写真は、麻のタペストリー。   身近なモチーフをグラデーション等の巧みな技法を用いながら、幻想的で繊細な作品に仕上げられている。   以下は作者のコメント。


               添付写真の作品ですが、タイトルは「つわぶきに蛙」

             毎年今頃になると手のひらに乗るような小さな蛙が現れます。
             その蛙を庭のつわぶきの葉に乗せてみました。


          
         ★ タペストリー 【 ほおずき 】 25000円 (作品は店内に展示販売しています。)

40代後半以上の日本人は、「ほおずき」という言葉の響きに郷愁の念を抱くはずだ。   朱色の花弁(?)の中に、オレンジ色の球形の実が収まっており、それを取り出して理由もわからず姉の真似をして揉んでいた記憶がある。  遠い昔の懐かしい記憶である。

            「 六角堂に 小僧ひとり 参りがなくて 戸があかぬ 」

情景が目に浮かんでくるようだ。   山奥の閑散とした古刹(古いお寺)だろうか。   侘び寂びの世界、寂寥感が伝わってくるが、なぜか優しく暖かいものを感じる。   淡い柿渋(かきしぶ)あるいは弁柄(べんがら)色の彩色が、この句とほおずきの絵を見事に惹きたてている。   以下は作者のコメント。


             ほおずきは好きで何度かモチーフにしています。
            ほおずきに添えた言葉は石川県のなぞなぞです。

             子供のころ飽きもせず無心にあの実をもんでいたのを思い出します。
             郷愁をさそう実ですね。



         ★ タペストリー 【 蒲 】 25000円 (作品は店内に展示販売しています。)

深い藍色が次第に淡くなり、蒲の絵に不思議な立体感と透明感を与えている。   葉の線の微妙な揺れが面白い。  
以下は作者のコメント。


       うちの近所には池があって毎年夏になると「蒲」の穂が沢山出ます。

       以前その穂を切って秋までほっといたら、ある日突然ぼわっとひらいてびっくりしました。
       たんぽぽの綿毛を巨大化して細長くした感じです。
       (もっと密集していますが。)
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【遊彩工房】その1 14:30
【遊彩工房】を主宰する尾崎尚子氏は兵庫県三田市在住の手描き友禅の作家である。  京都の学生時代、劇団の後輩で当時から京都友禅を研究していた。  非常に聡明で感性豊かな女性だったが、やはり友禅染の道に進んでいた。
先月、メールのやり取りで作品の紹介をしてもらう内に、当店で常設展示する企画がまとまった。 彼女は当店のコラムや掲示板を時々見てくれており、速魚川に集う多くの人達の創造的な才能と情熱に触発されたという。



上の添付写真は、能面をモチーフにして描かれた「班女(はんじょ)」。  尾崎氏が多くの能面の中からなぜ「班女」を選んだのか?  本人に聞かないとわからないが、三島由紀夫の《近代能楽集》の上演が盛んだった学生時代、その中の「班女」が劇団仲間や他大学で上演され観たことがあった。  当時、尾崎氏も観て感動したのかもしれない。

     《 ストーリー 》   三島由紀夫「近代能楽集」

愛する男を何年も待ち続ける女・・・・その話が有名になり、男の耳に止まって会いに来るが、女は「あなたではない」と否定する。  「彼はいつかきっと迎えに来てくれる・・わたしは待つの・・・」で芝居は終わる。  《愛する男を待つ》という純粋がゆえに狂信的な想いが彼女の精神を蝕んでしまったのである。

「班女」の面は、愛の情念が狂気に変化していく過程を表現しているのではないだろうか。  素晴らしい作品に仕上がっている。  以下は作者のコメント。

能面は学生時代に初めて見て以来、興味を持ち続けているものですが、不勉強のため「能」についての詳しい知識はありません。  ただ「能」も「妖怪」も何故惹かれるのかと考えた時、「こちらの世界」ではなく「あちらの世界」ということかもしれません。

形の上で言うと初めはデフォルメされた「般若」にとてもひかれましたが、そのうち最小限の表現の中で無限の表情を読み取れる「女面」に惹かれるようになりました。

「班女」の面でいうと、私の未熟な技量ではなかなか表現できずただアンバランスなように見えるかもしれませんが、左右の目の位置が少しずれています。  そのズレが精神の均衡のズレに思え、30年前この面を始めてみた時からずっと惹かれている面です。

妖怪との出会いは帯の依頼にありましたが、調べていくにつれこれは絶対自分のライフワークにしようと思うようになりました。


上の作品は「蝙蝠(こうもり)」。  絹の小風呂敷に淡い色彩で見事に染め上げられている。  尾崎氏の作品群の中でも「妖怪シリーズ」と呼ばれるこのジャンルは強烈で、日本の様式美に新たな解釈が加わり、尾崎氏の独自の世界の広がりを感じずにはおれない。  作品は当店にも展示しているので是非実物を見て欲しい。

                    ★ 小風呂敷 【蝙蝠】  7000円



上の作品は、ふくさ「浮き舟」。   「源氏物語」に登場する「浮舟」は匂宮と薫という2人の男性の間で翻弄される源氏物語最後のヒロイン。   以下は作者のコメント。

能の「班女」は、扇を交換した遊女が恋しい人を求めてさまようという話。

「夏に使われた扇が秋になって捨てられた」というのを嘆いた中国の『班女』という話が元になっていたというのは知らなくて、先日「源氏物語」を読んでいてなんと『東屋』の帖で薫が浮舟のまえでその一節を口ずさむ、というのがありました。

私の中では『班女』の面と『浮舟』は別物でしたが、ここにきてまさかつながっているとは思わず、思わず「わおっ!」と声を出してしまいました。

ここで『班女』と『源氏』がつながったということもそうですが、「源氏」の中に『班女』がすでに描かれているということに驚きました。 (1000年前に書かれた源氏物語に自分の好きな話が挿入されていたことに驚き)

 



               ★ タペストリー【兎に松竹梅】  25000円
       
                速魚川ギャラリーに展示しております。



          ★ 帯 【紫の上】  添付写真の女性がつけている帯。   以下は作者のコメント。

この写真の方は、もう結婚されている30代の女性ですが、ご両親が「源氏物語」の「紫の上」から名前を取った、というお話から「紫の上」の帯が欲しい、ということになり作らせていただきました。

この帯のデザインが決まるまでかなり悪戦苦闘したのですが、結局「すべては几帳の中のできごと」と物語を考え、雀を逃がして泣いている子供の「若紫(後の紫の上)」を見初めた源氏(紅葉)とその時咲いていた桜(若紫)、逃がした雀を配しました。

昨年秋、東京で作品展をしたときにその方がこの帯を締めて来て下さった時はとっても嬉しかったですね。 自分の作った帯に再会できることは少ないですから。  この方は海外の方に会われることが多くそのたびにこの帯のいわれを説明するのが楽しい、といって下さっていました。   こういうときは作家冥利につきますね^^



  上下の添付写真は、今年一月、大阪のホテル・ハイアットのロビーギャラリーで展示した時の風景。

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