猪原金物店・コラム明治10年に創業。九州で2番目に歴史の金物屋。
金物店の裏では喫茶店も営業しています。

| CALENDAR | RECOMMEND | ENTRY | COMMENT | TRACKBACK | CATEGORY | ARCHIVE | LINK | PROFILE | OTHERS |
「第10回 二人展 春らんまん 2010」その4 14:07
3月27日にスタートした「第10回 二人展 春らんまん 2010」は、5月5日(こどもの日)をもって無事終了した。    
人形作家・本田宗也と書家・井上龍一郎の「二人展」としては今回が最終回になる。   当初の宣言どおり、二人は10回まで見事に貫徹した。   長いようで、あっという間の10年間だった。 
 
年々歳々花相似たり. 歳々年々人同じからず・・・・・二人の作品は年々成長、進化し、今後もどんどん次の段階に挑戦、展開していくのだろう。   以下の19枚の写真は、長崎の写真家・松尾順造氏から提供していただいた。   3月27日の島原の風景である。 


島原城の内堀に面した周回道路を島原市民は「堀端の道路」と呼んでいる。   一周が約1,2キロメートル。
ウォーキングにはもってこいのコースで、朝夕に散歩する市民は多い。    元和2年(1616年)、有馬氏に代わり島原藩に入部した松倉重政により、標高60メートルの「森岳(もりたけ)」という小高い山を削り、元和4年(1618年)から寛永元年(1624年)までの7年間の歳月をかけて城郭と町が造られた。   従って、島原城を当時は「森岳城」と呼んでいた。    現在の天守閣の高さは、築城前の森岳と同じ標高60メートルである。

このわずか10数年後の寛永14年(1637年)に、天草・島原の領民による国内史上最大の一揆『島原の乱』が起きた。   パワーショベルもダンプもない時代に、このような巨大な堀や城郭を7年間で完成させるためには一体どれだけの人手と費用がかかったのだろうか?    その人手と費用は地元の領民が負担したはずだ。   キリシタン禁教令が公布されていたとはいえ、当時はまだほとんどの領民がキリシタンだった。    従って島原城は皮肉にもキリシタンによって建てられ、その怨念が「島原の乱」を生み出し、島原城を攻撃させたと言っても良いのではないだろうか。 

「堀端」には桜の木が植えてあり、3月下旬に満開を迎える。   桜前線などで使われる「ソメイヨシノ」という品種は、山桜などの自然の桜と異なり品種改良によって観賞用に作られた桜なので樹齢はわずか80年ほどしかない。
松尾順造氏の写真はいつもながら見事である。   近景から遠景に伸びる直線上に、桜、島原城、眉山、普賢岳と島原の歴史のすべてが収まっている。    多くの悲劇を経てきているはずなのに、凛として美しい・・・・・  
 




二人展」のオープニング・イベントに参加するために、今回も遠方から多くの人達が万障を繰り合わせて駆けつけてくれた。    上の写真は、千葉県佐倉市の横笛奏者・甲斐カオン(右端)と長崎市のピアニスト・松尾薫氏(中央)が演奏の打ち合わせをしているところ。    言葉によるたったこれだけの打ち合わせで、音合わせもしていないのに本番の二人の演奏は完璧に決まり、観客を感動させるのだ。   つくづくプロの恐ろしさを思い知らされた。 

写真の左端は北九州から駆けつけてくれたthomさん。   ロボット設計のプロで、コンピューターから車まであらゆるソフト、メカをこなすこれまた恐るべき人だ。


今回の朗読劇「信平走る・第12話」は、『佳人の黎明編』。    西郷隆盛の副官だった肥前大村藩士・渡辺清の娘・石井筆子(ふでこ)と布津村の山田奈緒の女性二人が主人公である。     石井筆子は女性教育と知的障がい者福祉の先駆者として有名である。    貧しさゆえに「からゆきさん」としてルソンに行かされようとする奈緒を、同郷の敬愛が救う。

今回は、前夜に2回ほど声を出して読んでいたので、本番は6箇所ほどのカミで抑えることが出来た(!?)。   次回の朗読劇は、7月17日(土)の予定。   香音天の九州コンサートツアーに合わせて、速魚川で同日夕方より「投げ銭コンサート」が決定しており、その時に「第13話」を朗読する。

作者・高城二三男氏は次回「第13話」に向けてどんな構想を練るのか楽しみである。   「信平走る」は現在、まつを氏の手によるインターネットラジオで第5話まで収録し公開している。    そして5年越しに公演してきた朗読劇「信平走る」も、いよいよ来年の3月、つまり第15話で完結する。   「信平走る」をメインに、今まで速魚川劇場で上演してきた高城氏作の一人芝居や資料などを一冊の本にしようという話が持ち上がっているからだ。    これもひとえに、速魚川に参集していただいた多くの観客、スタッフの皆様の熱い声援と協力の賜物である。    作者・高城二三男氏と共に深く感謝しております。


速魚川劇場に欠かすことの出来なくなった国内屈指の音楽ユニット・香音天の横笛奏者・甲斐カオン氏。    国内はもとより海外でもコンサート活動を精力的にこなしている。   彼女の横笛から生まれる旋律は、観客の魂を揺さぶり時空を超えた不思議な世界に誘ってくれる。    これにご主人である打楽器奏者・甲斐いつろう氏の力強く軽快で絶妙なリズムが加わる時、「香音天」というユニット名の意味が分かってくる。  

ご存知のように、人気上昇中の名曲「AQUA(アクア)」は、速魚川劇場において香音天と作詞家・高城二三男氏のコラボレーションで誕生した。    最近完成した名曲「普賢」も、現在作曲中の「黄泉がえるTERRA(テラ)」も同様である。   今後、どのような名曲が誕生し、我々に感動を与えてくれるのか大いに楽しみである。   

5月2日に千葉県佐倉市で開催された香音天主宰「第6回 佐倉竹林コンサート」に、高城氏や松下氏も島原から参加し、その素晴らしさに感動したそうだ。    以下に香音天公式サイトのカオン氏のブログに書かれた高城氏のコメントを紹介する。

まっすぐ伸びた竹林を借景としたステージがすばらしく、自然と音が融合しあうコンサートでした。

そしてなによりよかったのは、ボランティアの人々の動き。自分達が支えようという意思が感じられました。

 地方は文化の宝庫であるにもかかわらず、「何もない」と云う人が多い。  「何もない」のは「何もしない」からで、自分たちが「事を起こす」と、人工物ばかりの東京より雰囲気のいい楽しいことが出来る、ことの良い証明が今回の「竹林コンサート」であろう、と感じました。

 拙作詞「AQUA」を急遽演奏していただき、ありがとうございました。



甲斐カオン氏の横笛と松尾薫氏のピアノのソロ演奏がそれぞれ終了し、いよいよ二人によるジャムセッションが始まった。        

























| 「第10回 二人展 春らんまん 2010」 | - | - | posted by ino-haya - -
「第10回 二人展 春らんまん 2010」その3 17:53
 3月27日からスタートした「第10回 二人展 春らんまん 2010」 も、いよいよ大詰めを迎えようとしている。   29日から始まるゴールデンウィークに向けて昨日、書家・井上龍一郎が急遽福岡から日帰りで島原にやって来た。   作品展会場を少し模様替えするためだ。   往復8時間・・・・  龍ちゃん、あんたは偉い!!   新しい作品も加わったようだ。

4年ほど前から、4月のこの時期になるとテレビに「お茶の山口園」の新茶のCMが頻繁に流れる。   美しい茶園の風景が広がり、「新緑の香に新緑の風が吹く」という書のタイトルと共に声優が朗読する。   気持ちがさわやかになるCMであるが、この書体には見覚えがある。   龍ちゃんだ!




博報堂か電通がこのCMを作った、と4年ほど前に井上氏から聞いた。    リニューアルされずに毎年この同じCMが流されているということは、よっぽど視聴者の評判がいいのだろう。   4月の新茶の時期は、沖縄から山口まで九州全域の人達が井上氏の書を見ていることになる。




















 

              FUGEN(普賢)

 

一、 嗚呼(あ〜ぁ) 嗚呼  嗚呼  FUGEN

   永い旅の果てに 仰ぎ見るは   FUGEN

   (間奏)

   旅に病んだ歌人(うたびと)独(ひとり)山に向かい何を想う

   貴方の姿は黄砂(こうさ)の中に朧(おぼろ)に遠い

   言の葉を綴(つづ)り歌うことしかなかった俺

   貴方の中の荒ぶる龍の息吹(いぶき)を伝えられるのか

 

   酒を飲み月を待ち

   貴方を見上げると

   天上高く星が煌(きらめ)いて

   貴方は優しげで穏やかに静か  FUGEN

 

二、       山は頂(いただき)を空の青さの中に占(し)めながら

孤高(ここう)の清(すが)しさを謳うように

愛を歌い愛に生きることしかなかった俺に

人は皆 風の中に襟(えり)を立てて過ぎ去った。

 

旅に別れを告げるため

貴方を見上げると

荒ぶるこころを閉じ込めて

生きてゆけよと貴方の龍が云う FUGEN

 

(間奏)

 

嗚呼 嗚呼 嗚呼 FUGEN

荒ぶるこころを閉じ込めて

生きてゆけよと貴方の龍が云う FUGEN

| 「第10回 二人展 春らんまん 2010」 | - | - | posted by ino-haya - -
「第10回 二人展 春らんまん 2010」その2 17:30

上の写真は、「羽衣(はごろも)・後シテ」    静の中に動を予感させる。  本田作品は年々新しいジャンルが加わり、日本の美に対する問いかけが鋭さを増しているような気がする。    形も色彩もバランスも・・・・美しい・・・・・  


会場の設営風景。   本田氏は黙々と、井上氏はワイワイ楽しそうに、二人の個性の違いが出ていて微笑ましい。    そして、二人で一緒に設営するのも今回が最後になる。    


【まぼろしの五三焼き】カステラを焼いている五代目須崎屋・伊藤代二氏が、五三焼きを納品しに来られたので、会場に案内した。    老練な職人の眼で本田氏や井上氏の作品を丹念に観られている。   「素晴らしい・・・・」とつぶやきながら帰って行かれた。


タイトルは「勇雛」    清廉で力強い眼差しの若武者。    この青年を主人公にしたいろんな物語が頭の中でどんどん広がっていく。     本田氏はどういう想いを込めてこの人形を作ったのだろうか?


井上氏の右の作品「日々是好日」は「にちにち これ こうにち」と読む。   「ひび これ こうじつ」って大声で読んでたら「・・・・違うんだけど」と井上氏にたしなめられた。    まぁいいじゃない、素敵な書なんだから。         








       黄泉(よみ)がえるTERRA 
  
草原と海の刹那に立ち尽くし
少女はひとり岩笛を吹く                 ※ TERRAは地球、大地の事
祈りの岩笛を吹く
その音は一条(ひとすじ)の光のように空を走り
月光(つきあかり)と交差する

(短い岩笛の演奏)

もう、嘆かない 今の悲しみは
ただ元のTERRAに戻したいだけ
山が緑を取り戻し
海も青さを黄泉がえらせ
草原に風が吹き渡るように
いつまでも少女は祈りの笛を吹く
人知れず いにしえの時から

(やや長い岩笛の演奏)

草原と海の刹那に立ち尽くし
少女はひとり岩笛を吹く
祈りの岩笛を吹く
その音は真上の雲をふたつに割り裂き
日輪に迫りゆく

(短い岩笛の演奏)

もういいのです 君の悲しみは
ただ元のTERRAに戻したいだけ
旗を捨て母のところへ
怒りを捨て大地の元へ
少年よ、夢見たところへ行くのです

(短い岩笛の演奏)

草原と海の刹那に立ち尽くし
少女はひとり岩笛を吹く
祈りの岩笛を吹く
人知れず いにしえの時から


| 「第10回 二人展 春らんまん 2010」 | - | - | posted by ino-haya - -
「第10回 二人展 春らんまん 2010」その1 13:34
3月下旬の速魚川ギャラリーはイベントの目白押しである。    先に紹介した第五回「美術刀剣展」のわずか5日後に、第10回「二人展 春らんまん 2010」がスタートする。

福岡の人形作家・本田宗也(としや)氏と書家・井上龍一郎氏の二人展もいよいよ最終回の第10回を迎えることになった。  本田氏が初めて速魚川ギャラリーを訪れたのは11年前だった。  それから2回ほど「本田宗也の人形展」を開催し、その後本田氏が井上龍一郎氏を紹介して二人展が始まった。  本田氏も井上氏も作家として初めての個展がこの速魚川ギャラリーだった。   その後の二人の県内や全国各地での活躍はご存知の通りである。

「二人展は今後第10回までどんなことがあっても続けます。  その間に私たちの作品が成長していくのを見守って欲しい。」と初回に井上氏が宣言したのだった。  そして二人の作家は毎年いろんな作品を島原で発表し続けてきた。
本田氏の人形も井上氏の書も毎年確実に進化し成長していった。   作品展が近づくたびに、今年は二人がどんな挑戦をしてくるのかドキドキした。

本田氏の作品はより精妙により美しく進化を続け、井上氏の作品はよりダイナミックにより自由に進化を遂げてきた。
どれだけ多くの人々が彼らの作品に癒され勇気づけられただろうか?  どれだけ多くの人々が彼らをサポートし励ましてきただろうか?   そして多くの観客と作家の人々のお陰で速魚川ギャラリーもいよいよ13年目に突入しようとしている。
皆様には心より感謝いたしております。  また今後ともどうぞ宜しくお願いいたします。  誠に有難うございました。 

        
          第10回 【 二人展 春らんまん 2010 】
 
 


         ★  会期 3月 27日(土)〜5月5日(水・こどもの日)

       ★ 3月27日(土)午後7時より 恒例オープニング・イベント
 

  
                 崙鷽妖犬鬚佞蠅えって」  本田宗也(人形作家)

                               井上龍一郎(書道家)

            ◆]読劇「信平走る 第12話(佳人の黎明編)」 朗読:猪原信明

             奉納演奏 横笛:甲斐カオン

            ぁ(納コラボレーション 書:井上龍一郎、横笛:甲斐カオン

          ※ 第二部は、参加者全員による恒例の《一品持ち寄り交流会》です。



上の写真は本田宗也氏のHPに公開されている「佳日雛(かじつびな)」。   清廉で高貴な雛の表情と見事としか言いようのない精緻に描き込まれた絢爛豪華な着物の模様。  本田氏は10回以上の日展入選を果たし日展会友になった。  世に言う日展作家であるが、真面目に謙虚に黙々と創作に励む姿勢に変化はない。

          ★ 本田宗也人形工房のHP ⇒  http://www.hondatoshiya.com/



上の作品は店内に展示している井上氏の数年前の作品。    「 振り向くな鳥 囁くな風 花にやつれた人がいるから 」

この短歌は井上氏の友人で福岡市在住の歌人・関泰子氏の歌集【鳥が歌いはじめる朝に】(ながらみ書房)から引用されている。  関氏は早稲田大学卒業後、寺山修二主宰の劇団「天井桟敷」で演劇活動をしていたが、結婚を機に福岡に移り住んでいる。  6年ほど前に「二人展」に夫婦で来訪された際にお会いした。  彼女の短歌は、柔軟なリズム感とハッとするような鋭く優しい感性に満ちている。  それらを井上氏は見事に書で表現している。



上の作品は店内に展示している井上氏の数年前の作品。      「 守り来しと思いし子らに見守られ ふらふらふらと とりとめもなし 」     同じく歌集【鳥が歌いはじめる朝に】より。

我々がこの短歌の状況になるのはそんな先の事ではない。  「老醜」は死亡した時の家族の悲しみを軽減するための神様からの贈り物、と友人が言っていた。  森繁久彌が主演した映画「恍惚の人」みたいになるのだろうか?  ボケや認知症がひどくなり家族に迷惑をかけて疎まれ「うちのオヤジ、早く死ねばいいのに」なんて言われるのだろうか。  「生老病死」の人生四大苦は避けて通れない宿命だしなぁ・・・・
 


上と下の写真は、現在大ヒット中の漫画「バカボンド」の主人公・宮本武蔵と恋人・つうのプリントされたハガキに井上龍一郎氏が言葉を書き込んだもの。   昨年、「バカボンド」の作者・井上雄彦の原画展が熊本で開催され、龍一郎氏が会場で購入したハガキである。  

「まあ 座れ」は、まつを氏の天才的一撃必殺の言葉。    これがまた武蔵の絵にピッタリ見事に合っている。
「どうぞ うふ」は龍一郎氏が即興で書いたものだが、これも秀作。    茶房のレジ(会計)の横で来店客にいつも笑顔を見せてくれている。



| 「第10回 二人展 春らんまん 2010」 | - | - | posted by ino-haya - -
| 1/1 |