猪原金物店・コラム明治10年に創業。九州で2番目に歴史の金物屋。
金物店の裏では喫茶店も営業しています。

| CALENDAR | RECOMMEND | ENTRY | COMMENT | TRACKBACK | CATEGORY | ARCHIVE | LINK | PROFILE | OTHERS |
【テマテック・アイコン】の試み供Δ修裡 20:24
下の写真は、11月中旬頃、島原半島全域の新聞折込で配布された【高城歯科クリニック】開院の予告チラシである。
A4サイズのチラシの中央に大きくロボットの写真が刷り込まれ、そのインパクトの強烈さに一体何の広報なんだろうか? と確実に興味が湧くように計算された見事な演出である。

 高城歯科クリニックの開院予告と同時に、約半年がかりのプロジェクト《ロボットサイン》が島原半島住民に、数万枚のチラシの画像を通してお披露目となった。 感慨無量である。 



の写真は、12月1日(水)の午前8時半、オープニング・セレモニー直前のプロデューサー・高城二三男氏と制作者・田邊朗氏のツーショット。  除幕式を待つロボットの前で二人の表情は幾分か緊張しているように見える。 


除幕式の幕には三本のヒモがつけられており、このヒモを引くと幕が落ちてロボットが姿を現すという仕掛けである。


 午前8時45分に多くの関係者、参列者の前で、高城歯科クリニック開院式のテープカットが執り行われた。  テープカットをする四名は、左から高城病院常務理事・高城二三男氏、高城歯科クリニック院長・高城進氏、高城病院理事長(院長)・高城昭紀氏、前田豊建築社長・前田豊氏。


 開院のテープカットが無事終了し、いよいよ高城歯科クリニックの《テマテック・アイコン》になるロボットサインの除幕式である。 ロボットの愛称は、歯科クリニック院長・高城進氏の名前をとって「ススムちゃん」に決定した。 

除幕のヒモは、10分後に開業を控えている白衣の高城進歯科院長と院長の父君である高城病院理事長・高城昭紀氏とロボット制作者・田邊朗氏の3名で引かれる。  ロボットはどんな表情で姿を現すのだろうか? 観てる方も緊張の一瞬である。


3名による除幕後、姿を現したロボット「ススムちゃん」。 参列者から再び盛大な拍手が巻き起こった。 この銀色に輝くステンレス製ロボットは、高城歯科クリニックの《テマテック・アイコン》になると同時に、地元島原市民や小中高校生に勇気と希望を与えるだろう。  昨年、阪神淡路大震災後の神戸市新長田に「鉄人28号」が誕生したのと同様に・・・・
 
《テマテック・アイコン》のロボット「ススムちゃん」の前で記念写真に納まる高城家の3名。 このコラムのシリーズを見てくれていた宝塚市在住の手描き友禅作家・尾崎尚子氏より祝福のメールが届いていたので以下に紹介する。

ご無沙汰しているうちに朝晩冷え込んですっかり秋になりましたね。
今までと違うのは朝晩の冷え込みの厳しさが余り肌で感じないこと。
それから虫の音が聞こえないこと。
それがちょっとさびしい今日この頃です。

毎日ブログを楽しみに拝見しています。
先日のロボットはわくわくして読みました。
ちょうど神戸の長田に「鉄人28号」がやってきたのを思い出しました。

あちらもちょうど震災で大きなダメージを受け多くの人がその土地を離れていきました。

「長田の街に元気を」
と、鉄人がやってきたように、島原にも散人さんのクリニックから元気が発信されれば素敵ですね。

ロボットが見つめる先に小学校があるというのも子供たちを見守っているようで夢があっていいですね。

私のほうは現実はまだまだトンネルから抜け出せなくてあがいている状態ですが、ロボットを見ながら久しぶりに元気をもらいました。

自分もまた制作を頑張りたいと思います。

では皆さんのパワーに押しつぶされないように、また素敵な作品を楽しみにしております。

さざえ













 
                          金属彫刻家:田邊朗(たなべ・あきら)

佐賀県唐津市佐志浜町4096-1

tel&fax 0955-72-3911

mobile 090-8793-3943

e-mail  atelieryoughe@hb.tp1.jp

 

                        URL  http://w01.tp1.jp/~a311526262/


1960  生まれる

1984  グループ展         「鋳金展」                  金沢市

1985  グループ展         「若気のイタリー展」             金沢市

    北陸中日展         石川県知事賞受賞          石川県立美術館

金沢市立金沢美術工芸大学工芸デザイン専攻卒業

彫刻家故清水九兵衞氏に師事

2回日本アンデパンダン誌上‘86 (以後‘88まで出品)

1987  Be-Artギャラリー展      大賞受賞         Be-Artギャラリー 京都

    個展                          Be-Artギャラリー 京都

1989  第6回ヘンリームーア大賞展  マケット秀作展         箱根彫刻の森美術館
       
マークエステル・スカルシャフィキ氏の制作スタッフとなり渡欧  フランス・イタリア

                          

1991  第7回ヘンリームーア大賞展  美ヶ原高原美術館賞受賞     美ヶ原高原美術館

    金沢市彫刻展                              金沢市

1992  第2KAJIMA彫刻コンクール 模型入選        KAJIMA K.Iビル 東京

    半田市野外彫刻展        大賞受賞                半田市

    グループ展           「鋳金O.B展」              金沢市

1993  個展                         ギャラリーマロニエ 京都

    第1回大分アジア彫刻展     優秀賞        朝倉文夫記念公園 朝地町

1994  第3回KAJIMA彫刻コンクール KAJIMA銀賞受賞    KAJIMA K.Iビル 東京

1995  個展                           ギャラリー山口 東京

    グループ展         「10cm×10cm×(10cm)展」  ギャラリー山口 東京

    第16回現代日本彫刻展                     宇部市 常盤公園

    大阪トリエンナーレ1995-彫刻 第17回国際現代造形コンクール   マイドーム大阪

1996  グループ展          「鋳金O.B展」               金沢市

    グループ展          「現代造形作家立体小品展」  ギャラリー鈴木 京都

1997  第4回倉敷まちかどの彫刻展  模型入選                 倉敷市
        第17回現代日本彫刻展     模型入選            宇部市 常盤公園

1998  個展                            AXIS X-PORT 東京

        第2(おお)()川彫刻展                      八木町

1999  個展                         ギャラリーマロニエ 京都

    小品展                         Agua de beber 京都

2000  グループ展  「福助」                 ギャラリー西川   京都

    グループ展  「浮気(ふき)のかたち」   ギャラリーマロニエ・銀座ワコールアートスペース
      
5回倉敷まちかどの彫刻展                       倉敷市

    グループ展           「ザ・オマモリ展」    ギャラリーマロニエ 京都

2001  グループ展  「浮気(ふき)のかたち」   ギャラリーマロニエ・銀座ワコールアートスペース

    グループ展  「ザ・オマモリ展」             ギャラリーマロニエ 京都

2002  グループ展  「浮気(ふき)のかたち」   ギャラリーマロニエ・銀座ワコールアートスペース

    グループ展   「家具になったオブジェ展」       ギャラリーマロニエ 京都

    グループ展   「ザ・オマモリ展」            ギャラリーマロニエ 京都

    アメリのしあわせインテリアとカフェ アートディレクション小品展                                                                                        三潴銀行跡 大川市

2003  グループ展  「浮気(ふき)のかたち」   ギャラリーマロニエ・銀座ワコールアートスペース

    グループ展  「ザ・オマモリ展」             ギャラリーマロニエ 京都

    アクセス/アクセサリー展                     高岡市美術館

    洞爺村国際彫刻ビエンナーレ                       洞爺村

2004  グループ展  「浮気(ふき)のかたち」   ギャラリーマロニエ・銀座ワコールアートスペース

    第8KAJIMA彫刻コンクール 模型入選          KAJIMA K.Iビル 東京

    個展                         ギャラリーマロニエ 京都

    グループ展  「灯籠展」                ギャラリーマロニエ 京都

2005  グループ展  「浮気(ふき)のかたち」   ギャラリーマロニエ・銀座ワコールアートスペース

    グループ展  「ザ・オマモリ展」             ギャラリーマロニエ 京都

    第21回現代日本彫刻展                     宇部市 常盤公園

    キャラ博DX                       ワコール青山スパイラル

2006  グループ展  「浮気(ふき)のかたち」  ギャラリーマロニエ・銀座ワコールアートスペース

    グループ展  「ザ・オマモリ展」            ギャラリーマロニエ 京都

2007  グループ展  「2.5次元」 絵画考 ギャラリーマロニエ・銀座ワコールアートスペース

                        

2008  グループ展  「2.5次元」 絵画考           ギャラリーマロニエ 京都

2009  グループ展  「2.5次元」 絵画考           ギャラリーマロニエ 京都

2010  グループ展  「龍’s collection in 速魚川」        猪原金物店 島原市

    グループ展                          天吹酒造  佐賀

    グループ展                       小物の店 ひぐち 諫早

    グループ展  「ART BOX³」           まなび野の森ギャラリー 長与町

    個展                           ギャラリー樂 唐津市

 

 

 

パブリックコレクション  

 

美ヶ原高原美術館 

愛知県 半田市

大分県 朝地町 朝倉文夫記念館

山口県 宇部市 野外彫刻美術館 

大阪府 現代美術センター

| 【テマテック・アイコン】の試み | - | - | posted by ino-haya - -
【テマテック・アイコン】の試み供Δ修裡 14:13

27日の午前中に唐津からロボット看板を積載したユニック車が島原の高城歯科クリニックの駐車場に到着した。 設置作業は午後1時からスタート。 ユニック車のクレーンが荷台のロボット本体を吊り上げゆっくりと旋回する。 いよいよである。 地元のケーブルテレビ「ひまわりてれび」のクルーのカメラもこの貴重なシーンを追っていた。 

今回のプロジェクトのプロデューサー・高城二三男氏が提唱する【テマテック・アイコン】の概念を、このコラムを初めて見る人のために再度、以下に添付する。


          テマテック・アイコン          
          Thematic Icon  

1870年頃、自然主義やアカデミズムに対する反動としてフランス、ベルギー
に起きた芸術運動を象徴主義という。 
Symbolism(サンボリズム) 
「まずは印象を作り出すことに専念する」  

1998年、スペインのバスク自治州ビルバオ市に、グッゲンハイム美術館が開館した。
アメリカの鬼才、フランク・ゲーリーの設計による、チタニュウム板がうねるような外観は、
鉄鋼業などのくすんだ工業都市の中で衝撃を与えるには充分の効果があった。
ネルビオン川に浮かぶ船のようにも見えた。

 テーマ(主題) テマテック(Thematic)な建物と云われた。
 
美術館正面には、アメリカの現代美術家、ジェフ・クーンズの作による、10mもある巨大な、
植物で形造られている犬の「パピー」が客を出迎える。これがアイコンになった。
アイコン(Icon)とは、物事を絵で簡単に表すこと。アメリカの哲学者パースが提唱した。



今歯科医院を建設中であるが、看板(サイン)をロボットにする。

云うと皆「な なんで ロボットなんですか?」と云う。
みんなが奇異に感じることがいいこと、だと自分は思っている。
皆の常識の範疇に取りこめられると普通に成り下がってしまう。
それだけはしたくない、と思ってロボットに決めた。

ヒントはあった。
それは高さ12メートルの花で覆われた子犬のパピーがスペイン ビルバオ
のグッゲンハイム美術館の正面に鎮座している。当初は「なんで美術館に
パピーちゃん なの?」と市民は云ったが、いまやビルバオ市の象徴に
なっている。

パピーなどを「テマテック アイコン」という。
今回はそれをヒントにした。
ハイテクじゃなくローテク・ロボットのイメージである。
金属工芸作家 田邉朗氏の作品である。
田邉氏は最近、ホテル・OO東京の仕事も受注した。
多くの候補を退けて仕事を取った。芸術は田舎にいても出来る
仕事である。(田邉氏HP参照)

 ロボットは今月中島原にやってくる。全長2米50センチ
の迫力のある姿を見せてくれる。

芸術は商売に使えるのである。
(「サイトまつを」掲示板の高城氏の文章より抜粋)


ロボットのボディーのボルト穴にシャックルという吊り金具を4箇所取り付け、それぞれにスリングロープを通してクレーンのフックに掛ける。 クレーンのリモコンボタンを押すと二百数十キロの首のないロボットがゆっくり空中に浮き始めた。  


真っ青に晴れ上がった秋空に、まるでゆったりと空中を泳いでいるようにロボットが吊られながら旋回していく。  このロボットの永住の地・島原に初めて着地する数十秒前のシーンである。


ロボットは、地面に敷かれた柔らかい毛布の上に平行に並べられた2本の枕木にゆっくり横たわった。  その後、ベースプレートの二箇所のロープがはずされ、両肩の二本のロープがクレーンで吊られるとロボットはゆっくり直立し始めた。


直立状態で吊られたロボットは、再び宙に浮きながら今後永遠に立ち続けるであろう基礎台座の方向に移動していく。 クレーンの旋回が停止し、ロボットは静かに下降しながら、定位置に着地する。


ベースプレートの6箇所の穴から6本のボルトが同時に頭を出した。 寸分の狂いもなくロボットは大地と繋がった。
ナットが力強く締められ、永遠の誓いがたてられた。


ロボットの頭部が毛布の上に慎重に運ばれてきた。 驚いた事に、半年前に田邊氏が描いたパースとまったく同じである。 三次元で完璧なイメージが創れる傑出した彫刻家だからこそ、そのまま二次元(平面)に描くことが可能だったのだ。
何度見ても飽きることのない普遍性を感じてしまう。 表面が光沢を帯びた無機質の金属でありながら、なぜか優しく暖かい。 彫刻家・田邊朗の人間性と制作意図が滲み出ているようだ。

高校時代の教科書で 『トルソーとペルソナ』 についてのエッセイがあったような記憶がある。 トルソーは胴体、ペルソナは人格や仮面(顔や役割)を意味するラテン語だったと思う。 この頭部(ペルソナ)こそ、ロボットの役割や個性(パーソナリティー)を決定付ける一番重要な部分ではないだろうか。 


ロボットの頭部と頭頂部につくプロペラが毛布の上に置かれた。 物語ではこのプロペラが回転してロボットは空を自由に飛ぶのである。 もちろん実際は風を受けてプロペラが自然に回転する仕組みである。


いよいよ、頭頂部にプロペラが固定される。 風を受けるだけで重いプロペラが回転するように、回転運動の抵抗をゼロに近づけるためのボールベアリングが二箇所も装着されている。


基礎に埋設していただいていたアンカーボルトとベースプレートはまるで誂(あつら)えた股引(ももひき)の様にぴったりと合って、プレートをナットで締め込み一発で設置完了。
その後、頭部を釣り上げて首に据え付けます。


空高く吊り上げられたロボットの頭部。 頭部から下がっている一本の電線コードは、顔の中を光らせる電球の配線コードである。


ついにロボットの胴体に頭部が連結された。 田邊氏によってさらにボルト固定されていく。




建物との比較写真。当初の計画では2階建だったのですが、計画変更で一階のみとなったのでバランスが心配でしたが、建物正面高さは500ミリ低くなっただけで、心配したほどバランスは悪くなかったので安心しました。


元の電気工事屋さんが、地中から引かれている電源コードをロボット本体の電気コードに結線する。 雨水や散水などの漏水による漏電が発生しないように、蛇腹状の保護ホース内を電線が通してあり、この上から土が盛られ植栽が植えられる予定になっている。

電源類もベースプレートも植栽の土に隠れてしまうので、ロボットは二本の脚だけで植栽に立ち続けるという演出になる。 




ロボット本体の設置が完了すると、次は内部の照明器具の設置工事が始まる。 照明は頭部内の電球と胴体看板用の蛍光灯の二箇所である。 ロボットの頭部は電球の赤い光、ボディー内部は蛍光灯の青い光とメリハリと変化をつける懲りようである。






銘板の取り付け作業の後ろで、電気工事をしていただいています。

ロボットのボディ正面の窓内に高城歯科クリニックのサイン文字看板があり、

夜になると照明が点きます。また顔内にも照明器具がセットされ顔も光るのです。


設置後のロボット頭部

 島原第一小学校を見ているのでしょうか




設置日の翌日に現場に行ってみると、すでに造園業者によって植栽作業は完了しており、ロボット本体には頑丈な覆いが施されていた。 12月1日(水曜)に予定されている高城歯科クリニックのオープニングセレモニーの除幕式まで、約一ヶ月間ロボットは眠り続けることになる。

12月1日の除幕式では、ロボットの表面を保護してきた白いシートもすべて剥がされ、全身メタリックの輝く姿を人々に見せてくれる予定である。 制作者の田邊氏もまだ見たことのない完成した姿である。

 
上の写真は、高城歯科クリニックと対峙する島原市立第一小学校の正門。 小生の母校であり100年以上の歴史を誇ったが、耐震構造の問題で現在建て替え工事が行われている。 来年の6月完成予定。 正門の突き当たりの運動場に建設された仮校舎が見え、その背景には普賢岳がそびえている。 

この正門レンガ敷通路の中心線の延長線上に、ちょうどロボットが位置している事に気づいた。 偶然だろうが、来年の6月以降、第一小学校の児童は真正面にロボットを見据えながら下校することになる。 「ひまわりてれび」のインタビュー担当者が、「なぜ、ロボットなのですか?」と高城氏に質問した。 「子供達へのプレゼントです。」と彼は答えた。

| 【テマテック・アイコン】の試み | - | - | posted by ino-haya - -
【テマテック・アイコン】の試み供Δ修裡 21:55
日(10月27日・水曜)午後1時より、予定通りロボット看板の設置作業が行われた。 天気は快晴。 作業は夕方6時頃無事終了。 約半年間のプロジェクトがついに完成までこぎつけた。 田邊氏の顔には仕事をやり遂げた安堵感と充実感、及び徹夜作業による疲労感がにじみ出ていた。

以下の写真は、唐津の現場における最後の仕上げ作業数日間の記録である。  レーザー切断されたパーツが型通りに曲げられて溶接され、その溶接面の均し作業が繰り返される様子が克明に記録されている。 最初に溶接された面をヤスリで研磨してチェックし、凹の部分に再び溶接盛りして再度研磨するという工程が繰り返され、最後には美しい鏡面研磨に変化していく。
 

溶接から帰って来たパーツ仕上げにかかります。

上の写真はロボットの頭頂部のコーン(円錐蓋)です。

TIG溶接※1でつけてあり、溶接の盛り上がった部分(ビードと言います)を削って、平らになめらかに仕上げていきます。

最初はサンダ―の砥石で粗擦りをして余計な部分を落としてゆきます。

 ※1 タングステン・イナートガスアーク溶接 タングステンと言う金属の電極棒の先から放電して溶接母材を溶解する溶接法。

その際不活性ガス(アルゴンガス)で溶解部が酸化しない様にシールドする。



あらかたの粗擦りが終わったら、ヤスリで形を整えながら仕上げて行きます。


上の画像の拡大です。溶接の引け(正規の面より低くなってしまったところ)が出てきました。

高いところは削れば良いのですが、へこんでしまったところは溶接で肉を盛り上げて修正しなければなりません。


これは頭部外周の部分です。粗擦りをしたらやはり引け、欠けが出てきました。
全て修正になるので、発見
するたびにマジックで印をつけておきます。


引けたところにTIG溶接で肉盛りをします。



とにかく全てへこんでいるところには肉を入れます。

シラミつぶしです。


肉盛りをした個所に仕上げをかけて行きます。


肉盛りがなお足りない個所が出てきました。


肉が足らない個所にさらに肉を入れます。この工程を繰り返し、引け、欠け、ピンホールを全てつぶしてゆきます。


ほぼ形が出来ました。
 


形が出たところで研磨をかけます。

磨き終わった所は不慮に事故に備えてテープを貼り保護します。

写真ではそれなりにきれいに見えますが、翌朝太陽の光で見たらあまりよろしくありませんでした。

全面再研磨をかけるはめになってしまい、泣きながら磨いたのでありました。

 溶接と仕上げに関してはこの様な研磨品の場合切り離して考えるわけにはいきません。

溶接をするということは金属を溶かして接合するということです。

金属は熱をかけると必ず曲がったり、歪んだりします。

それらを直しながら、様子を見ながら、形を整えながら仕上げて行きます。

素材がどのようになりたいのかを聞きながら、私がどの様にしたいのかを少しづつ素材に受け入れてもらわなくてはなりません。

無理にこちらの言うことばかり聞かせると割れてしまったり、取り返しのつかない変形をしてしまいます。

特にステンレスは熱による膨張係数が高く(鉄の1.5倍)気難しい素材です。

世の中の男性諸氏にとって膨張率が高いということは良い事かも知れませんが、金属加工者にとっては最も大変な問題となります。

少しづつ騙しだまし相手が気づかぬうちに事を進めねばなりません。何について語っているのか分からなくなってきましたが、金属の加工についてです。

 パーツ仕上げ編1 了

ロボットの首回り、襟のパーツです。曲げ加工をする際の金型の押し跡がついていました。

かなり深いへこみなので、擦り落とせば板の平面感が損なわれると考え、へこみに肉盛りをして、仕上げる事にしました。

溶接で埋めた所を仕上げて行きます。

カラーの仕上げについて言えば、ホントは触りたくはない所です。なぜならば研磨加工された材料は機械研磨がされていて、手仕上げの研磨とは明らかに違うからです。そこを見た目に分からぬ様に仕上げるのは至難なのです。

また余計な所を削らぬ様にしなければなりません。少しでも手元が狂えばガっと掘れてしまいます。

少しづつ、慎重に、そっと触れるようにサンダ―を当てて行かなくてはならないデリケートな仕事になります。

 どれくらい繊細な仕事かと言うと、処女ノ乳首ニ触レナムトスル繊細な気遣いを…

 …何か淫らな感じが否めません。

本の収集家をBibliomania(ビブリオマニア) と言いますが、日本語に訳するとこれを書淫と言うそうです。

私の場合はさしずめ鉄淫と言うところでしょうか。

 私の仕事は、職人的であるとか、技術的であるとか評される事があります。

このような批評する人々は思想や頭脳の作業を伴わない手作業の熟練によってのみ製作(制作ではなく)しているのだと言いたいのでしょう。

私は造形表現をする以上、自分が抱いたイメージにどれだけ近づける事が出来るかが問題になって来ると考えています。

ラフなイメージはラフに、かっちりしたものはかっちりと。

抱いたイメージの表現が出来るだけの最低限の技術は持っていないと造形表現は出来ないのではないでしょうか。

私が表現したいイメージにはどうしてもこれくらいの技術が必要になってしまうのです。

 彫刻家の佐藤忠良さんは、仕事で問題が起った時「職人として恥ずかしい事だ」と言っておられました。

ご自分自身を職人と言いきってしまわれる所に私は大変感銘を受けました。素晴らしい事であると思います。

 勢い余ってなんか変な文章を書いてしまいました

        
 田邉



目玉です。半球を溶接して球を作っていますが、溶接が共付け(母材のみを溶かして付ける事)

当然溶けた所が引けてへこんで筋になっています。このままではきれいな球体に仕上がりません。


引けた部分に肉を盛り付け仕上げて行きます。

脚とボディ底板及び底板カバーの連結

ボディ下部の見上げ。

手前長穴は強制換気用エアインテイク


ボディ底板を上から撮影。

手前のオレンジ色の物体はエアフィルター。

突き出しているパイプは電源線引き込み用配管。



(株)脇山製作所内での組み立て作業風景。

ボディ本体パネルが取り付けられています。



ボディ内部パネルを取り付けて、ショルダーを乗せ閉め込みます。

だいぶ形が見えてきました。


さらにカラーを装着します。ボルト位置のバッチリ合っています。

ここら辺の技術がこの会社のすごい所だと思います。

内部パネルにサインも取り付き首も付いてほぼ形になりました。



背面からの画像です。

背中中央の鎧戸(通称ガラリ)は内部に強制排気ファンが付いていて、

ボディ内部の温度が上がりすぎないように換気をします。

ボルトも沢山付いてなんだか強そうになって来ました。



 別途組み立ての終わった頭部です。

ボディとは分けて現場搬入し、現場でボディに取り付ける予定です。

 組み立て編 了

 セッティング編に続きます。

 ところが、ここまで書いた時に、家内から洗濯洗剤が無いから買ってこいとの指令が出ました。

中断して行って来なければなりますまい。ちょっと待っていてください。

           田邊

| 【テマテック・アイコン】の試み | - | - | posted by ino-haya - -
【テマテック・アイコン】の試み供Δ修裡 19:08
昨夜、田邊氏よりメールでロボットの組立現場の画像が送られてきた。 いよいよ完成も間近に迫った。 唐津から島原までロボットを輸送するユニック車の手配など調整がほぼ整ってきてるようだ。

      
10月25日(月) ロボット完成。

      10月26日(火) 夕方、ユニック車へのロボット積載。

      10月27日(水) 早朝に唐津を出発。

               午前中に島原着、すぐに設置作業。

以下の写真はロボットの組立工程の写真である。 田邊氏から 「いやぁ〜、自分で設計したとはいえ、現物を間近で見るとビックリするほどでかいです。 過去に大きな作品は作ってきましたが、すべて鉄製でした。 ステンレス製ロボットでこんな大きなものは作ったことも見たこともないです。 恐らく国内で初めての事ではないでしょうか?  製作会社の社長が、『ステンレス製は永久に残るしなぁ・・・』と感動していました。 こんな注文は初めてなので是非、会社のパンフレットに実績例として掲載させて欲しいと頼まれました。」と電話があった。

猪原様

だいぶご無沙汰しまして申し訳ありません。

本日組み立て工程に立ち会いました。


ロボット本体です。

脚が長く見えるのは、200ミリの飲み込み(花壇の地中部)を見ているためです。

やはりでかい。



ボディ部の拡大です。

この開口内にサインが入ります。



ショルダー部の拡大です。

上部の板に傷をつけずに巻くのが至難のワザだったとの事。



これは首がつくカラーです。

厚みは六ミリ。 上のショルダーよりもう一つ大変な加工です。



ベースプレートです。

厚みは12ミリ。

この板だけで約52キログラム。



ボディ内部のサイン支持板。

裏側から。

これに下の写真の枠が付きます。



この枠にアクリル板が付き、サインとなります。

一番大きな枠は前面の扉の裏側に付く窓の押さえ枠です。



頭部の部品です。

頭だけに部品点数が多いですね。


 

別の角度から撮ったものです。

ロボットの口を覆うガードが耳のリングと

一体になっています。

これらの部品(まだまだ細かい部品がたくさんありますが、本日撮影出来たのはこれくらいです。 明日夕方、土曜日、月曜日と現場に張り付いて(嫌がられても)仕上げと最終チェックをするつもりです。 その時にまだまだ撮影しますから。

       田邉

| 【テマテック・アイコン】の試み | - | - | posted by ino-haya - -
【テマテック・アイコン】の試み供Δ修裡 22:22
先日、田邊氏よりメールでロボット制作現場の画像が送付されてきた。  初めて眼にする本物のパーツである。 


        ステンレス製(SUS304)パーツのレーザー切断面(無酸化切断)

これはレーザー切断されたステンレス板の切り口を撮影した物です。クリーンカット(無酸化切断)されているので切断面は大変きれいですがさらに磨きをかけて金属光沢を出します。


         切断面仕上げ前(下)、仕上げ後(上)の比較

上のプレートが切断面を磨いた物。
下が未研磨の物です。並べてみると違いが良く分かります。


   ベースプレート(SUS304)NO1 t=12(厚さ12弌法,函.椒妊D貳帖t=6.0(厚さ6弌

ロボットのベースプレートとその上に乗っているのはボディの底板です。
ボディ底板は厚さ6ミリ、ベースプレートは厚さ12
ミリです。
底板の画面中央上の長穴は換気用の空気取り入れ口です。
左側の大きな穴は電線引き込み配管が通る穴です。


   ロボットボディ表示面枠(SUS304)t=10.0 #400(表面研磨度)


ロボットの前面に付く窓枠です。
磨いてあるので傷がつかないように保護シートが張ってあります。



                 「枠」の切断面仕上げ前


上の写真と同じ窓枠です。
これもレーザー切断面を磨かなければなりません。


電源線引き込み用内部配管(左)と ロボット脚パイプL.R (SUS304)φ216.3 t=3.0 #400  

ロボットの脚になるステンレスパイプです。
パイプの直径はφ216.3ミリ厚さは3
ミリです。
左側の細いパイプは電源線引き込み用のパイプです。
片方の脚の中を通ります。


                  部材と人体スケール比較


                    ロボット脚上部フランジL.R表面


                 ロボット脚上部フランジL

| 【テマテック・アイコン】の試み | - | - | posted by ino-haya - -
【テマテック・アイコン】の試み供Δ修裡 14:13
島原市立第一小学校正門前に位置する高城歯科クリニックの建設工事は急ピッチで進んでいる。  建物の外装工事はほぼ完成し、内装工事の段階に入っている。  歯科クリニック玄関横の花壇が現在製作中のロボット看板の設置される場所だ。   花壇の中に、高さ2.5メートル、重量300kgの巨大ロボットが立つことになる。 従って、花壇の地下にロボットをしっかり支持する頑丈なコンクリート基礎を前もって作っておかなくてはならない。 同時にロボット内部2箇所の照明器具用の地下電気配線も必要だ。


上の写真は、9月4日現在の歯科クリニックの外観。 ユンボ(パワーショベル)が地下に設置された合併浄化槽の周りの土を埋め戻している。 花壇の造成工事は、その内側に設置されるロボットの基礎および電気配管と一緒に次の工程で始まる予定だ。 従って、ロボットの設置位置の最終決定をするために唐津から作者の田邊氏が来島した。

ロボットの向き(方角)は重要な要素になる。 能面の向きや角度で表情が変わるのと同じで、道路側つまり正面から見えるロボットの方角でニュアンスが大きく変わってくる。 


ロボットの方角は、机上ではなく現場で実際に立ち会ってあらゆる方向から検証され決定する。 理論的意味づけも必要だ。 今回のプロジェクトの発案者でありプロデューサーの高城二三男氏(左)と制作者で彫刻家の田邊氏(右)の二人による協議が現場で展開される。




設置予定の地面には、ロボットの基礎部と同サイズにカットされたコンパネ(合板)と、無加工のコンパネ(3尺×6尺)の二枚が準備されていた。 この二枚を使って正確な位置と角度を決定するのである。 無加工のコンパネは建物との直角を出すための定規の役割だ。 このコンパネに対してコンクリート基礎と同サイズのコンパネの位置と角度を割り出していく。


道路に対して歯科クリニックの建物やフェンス、花壇などはすべて平行と直角に整然と設計されている。 そこでロボットの方角はどうするか? 建物に合わせて真正面(平行)あるいは横向き(直角)にするのか? その間をとって斜め45度にするのか? それとも?・・・・

第一小学校校舎から正門に向かって下校してくる児童達、道路を平行に歩く通行人、クリニックの玄関に向かって直進してくる患者・・・あらゆる視角を想定したロボットの最適の角度とは?・・・

プロデューサーと制作者の二人の出した結論は、正面に向かって斜め約20度の方角であった。 テマテック・アイコンであり、芸術作品であり、歯科クリニックの文字を見せる看板という役割も加味された絶妙な角度が決定した。


基礎コンクリートに埋め込む予定のステンレスボルトを確認する田邊氏と元請の建設会社社長・M氏。(M氏は先月県展で最高賞を受賞した彫刻家・S女史に一年間、アトリエとして倉庫を提供したご本人)  ロボット本体のベースプレートの穴が6箇所だから、基礎に埋め込むボルトは6本である。 この6本のボルトを図面通り正確に間隔と垂直の精度を出してコンクリート固定しなくてはならない。 

完成したロボットがクレーンで吊られながら慎重に基礎部に載せられる。 ベースプレートの6箇所の穴を貫通して直立する6本のボルトにそれぞれ座金とナットがしっかり締め込まれて設置作業は完成する予定だ。 


現場の打ち合わせがすべて完了し、現在のロボットの制作状況を高城氏に説明する田邊氏。 3Dを駆使した三次元設計の図面がテーブルに広げられている。 それぞれの製作パーツの位置が分かるように、ロボットの各部分が色分けしてある。 この色分けしたパーツ同士をパソコン画面上の三次元空間を使ってはめ込んで照合し、不都合な部分を修正(設計変更)していくという。

従って、従来のように各パーツの切断後に、それぞれのパーツを組み合わせながらの研磨作業による修正はいらなくなる。 その作業を仮想空間(3D)で済ませてあるので、切断後のパーツは修正不要の完成品なのだ。



















 
| 【テマテック・アイコン】の試み | - | - | posted by ino-haya - -
【テマテック・アイコン】の試み供Δ修裡 11:52
田邊氏がロボットの模型を作成した際、恐らく以下の絵つまり「ロボットのパース」が先だったのではないだろうか?
この絵を描きながら各部分の具体的なイメージを膨らませていったと思える。


このロボット看板が設置される「高城歯科クリニック」は、島原市立第一小学校の正面玄関と道路を挟んで対面に位置し、建設工事はほぼ完成しようとしている。 第一小学校の敷地(城内一丁目)は江戸時代までは島原城の三の丸にあたり、上級武士の居住区だった。  この三の丸の敷地に対して歯科クリニックの敷地は先魁(さきがけ)町と呼ばれ、本来は石積みの城壁により一段低い土地であった。 

先魁(さきがけ)は文字通り、侵入してくる敵に先に仕掛ける場所を意味する。 有馬氏が島原半島を統治していた時代に、佐賀の竜造寺隆信軍が諫早方面経由で海岸線に沿って北から攻めて来た事を考えると、城の北側に先魁を配したのは理にかなっている。 城の南側が「追う手」(現在の大手、市役所前の広場)と呼ばれており、敵を追う場所になる。  ゲッ!? そうなってくると主戦場は当店のある上の町や中町などの町人街を想定して築城した事になる。 大手門のさらに南側に寺町が配されており、お寺の境内に兵を待機させておき、大手(追う手)から逃げてきた敵を挟み撃ちにするという、戦国時代版築城マニュアル通りの完璧なまちづくりの配置である。  島原城を築城した松倉重政はたいしたものだ。 

現在、盛り土による造成によって先魁と三の丸(城内一丁目)は平地で繋がっている。 第一小学校の児童は、正面玄関の延長線上に歯科クリニックのロボットを6年間、毎日見ながら下校することになる。 学校でいじめや辛いことを経験して帰る児童にも、このロボットが優しく何かを語りかけてくれるはずだ。 

以下は、田邊氏による説明文である。

 

高城歯科クリニック屋外サイン計画

 

高城歯科クリニックの新築工事に当たり院外エントランス部に屋外サインの製作を依頼され、デザインを進めるうちロボットの形をした極めて特殊なサインとなった。

これについてより具体的にサインの全貌を把握できるように詳細及び説明を記す。

 

1)              ロボットについて

新設医院のサインについて依頼を受け、建築の基本的プラン及び立地条件を考慮し、ロボット型サインを提案した。同医院は小学校正門の正面に位置すること、また初期建築設計のコンセプトに盛り込まれた遊びの感覚を発展させた。

 

ロボットという親しみやすいキャラクターは周囲に与えるインパクトも強く、シンボルモニュメントとしての機能も有する。大型のロボット型サインは世界初の試みであるといえるであろう。したがって話題性を有し、宣伝効果も莫大であると推察される。

 

今回のロボットの原案となるものはブリキのロボット玩具である。

ブリキのロボット玩具は戦後復興期の日本が主に欧米輸出用に生産していた工業製品である。そのため日本よりも欧米での評価が高く海外ではコレクターズアイテムとなっており、大変な高額での取引が珍しくない。

リモージュなどに代表されるフランス人形は世界的に評価が確立しており、業製品にも関わらず工芸品的な感覚で受け止められているが、日本製のブリキのロボットはまさにフランス人形と同等の評価を受けている。

現マスダヤコーポレーションが発売したブリキのロボットのシリーズ中(5体)赤色のものは世界中で5体しか現存が確認できておらず、サザビーのオークションでナイキ社の社長であるマーク・G・パーカー氏(世界的なブリキのロボットコレクターである)により日本円に換算して500万円で落札された。(この時最後まで競った相手がマイクロソフト社のビル・ゲイツ会長であるともいわれている)

 

作者によるロボット作品はそのほとんどがパーカー氏のコレクションとなっており、日本国内には3体が残るのみである。

 





田邊氏によるフリーハンドの展開図。  上は全体図で、以下は6分割して拡大したもの。 パーツ(部品)は100個を軽く超える。











1)              材質及び加工について

 

今回のロボット型サインに使用される材料はステンレスであるSUS304を使用する。

 

ステンレスは鉄を主成分とした合金である。

周知のようにステンレスは鉄と比べて錆にくい(錆びないわけではない)のが特徴である。

錆は金属の元素が酸素と結びついて酸化することにより起る現象であり、ステンレスは酸化を抑制するためにクロムやニッケルを添加してある。

これにより金属の表面に不動態皮膜という化学的に非常に安定した膜を形成するため酸化などの化学変化が起きにくい。

添加される金属の種類や量によってさまざまな種類のステンレスがある。

 

2−a)ステンレスの種類

 

ステンレスは磁性のあるものと磁性のないものに分ける事が出来る。

磁性のあるものはクロムを添加したもので、クロム鋼もしくはクロム系ステンレスと称される。

ステンレス鋼の中では安価なため用途上問題がない場合はコスト面で使用される。(ステンレスの中では割と錆びやすい)

専門的な補足説明をすれば、クロム鋼は分子構造から分類するとフェライト系及びマルテンサイト系に分類され、400番台3桁の数字で表記される。

 

今回使用されるのはSUS304である。(Steel Use Stainless の略)

より錆びにくくするためにクロムとニッケルを添加してあり、

上記分子構造からいうとオーステナイト系に分類され磁化しない。(よって磁石には着かずまたオーステナイトは熱硬化しないので刃物にはならない)

これは別名18-818クロム8ニッケル)ステンレス鋼とも呼ばれており、錆にくいので、医療機器、また身近では食器、スプーンやフォークなどのカトラリーにも多く使われている材料である。

ステンレス素材の中では比較的高価な材料であるが、屋外で使用する場合、対候性は抜群でしかも磨くと美しい金属光沢をもち、これらの理由により建築金物としても多く使用されている。

 




2−b)表面の状態について

 

今回のロボットにはこの材料(SUS304)を磨いたものを使用する。

400400番)は研磨の度合いを表すもので、研磨は番号が大きくなるほど研磨の度合いが細かくなる。(より鏡に近づく)400番をさらに磨いたものに600番、800番とあるが、材料を加工(切ったり曲げたり)しなければならないため一度傷がつくと同じように研磨することが不可能であることから400番の研磨を選択した。研磨された材料を使う意味は、磨かれたステンレスの金属光沢が美しい事と合わせて汚れにくい事があげられる。

汚れが付着したままにしておくと上記不動態皮膜が形成されずステンレスと言えども錆びる。

また微細な金属粉等が付着すると金属原子がもっている電位の差により電流が生じて腐食する場合がある。(これを電食と言う)

汚れにくい状態を作るために磨きの材料が適切であると考える。これは金属表面の摩擦係数を減らし埃等が滑落しやすい状況を作り出すためである。

ステンレスは丈夫で美しい事から屋外彫刻の素材としても良く用いられており、これを使った最も有名な作品は、アメリカ、ミシシッピ河口に設置されているスウェーデンの世界的建築家、

ユーロ・サーリネンの巨大なアーチあろう。




 

2−c)加工について

 

今回の制作にあたっては一部CAD/CAMシステムを使用する。

CAD/CAMシステムとはComputer Aided Design/ Computer Aided Manufacturingの略称であり

コンピュータ支援設計/コンピュータ支援製造と訳される。

設計をコンピュータにて行い、データを作成してそのデータをCNCマシン(Computerized Numerical Control Machining コンピュータ数値制御工作機械)に送り加工するものである。

このシステムの長所は設計において3Dモデル(Three Dimensional Computer Graphics Modeling)を作成し コンピュータのモニターで確認、検討出来るため、モデル、試作の必要が無く、また決定したデータをそのままCNCマシンに読み込むため人の手を介する必要が無いため誤りも各段に低い点があげられるであろう。現在ではこのシステムがかなり普及しており今回は設計と材料の切断、穿孔についてこのシステムを使用する。

作成されたデータはCNCレーザー切断機に送られる。

レーザー切断はレーザー光線により材料を切断するもので、高速、高精度の切断が可能である。

また切り出された部品は熟練工に手によりベンディング加工(曲げ加工)や溶接

以下使用が考えられる溶接法。

TIG Tungsten Inert Gas Welding タングステン-不活性ガスアーク溶接

YAG Yttrium Aluminum Garnet Laser Weldingイットリウム-アルミニウム-ガーネットレーザー溶接

MAGMetal Active Gas Welding 炭酸ガスアーク溶接

部分的に最良の溶接法を選択する

を経て組み立てられ完成となる。

| 【テマテック・アイコン】の試み | - | - | posted by ino-haya - -
【テマテック・アイコン】の試み供Δ修裡 18:16
以前コラムで紹介した唐津在住の金属彫刻家・田邊朗(たなべ・あきら)氏の作品が、この島原に【テマテック・アイコン】として誕生しようとしている。  このプロジェクトは今年5月にスタートしており、現在すでに制作段階、10月中に完成し、11月には島原市内に設置される予定である。
 

上の写真は以前にも紹介したが、田邊氏のロボット作品が「ラピタ」の2003年12月号の表紙を飾った時のものである。
田邊氏が2001年から2003年にかけて制作した高さ約数十センチの各種ロボットは、すべてアメリカ・ナイキ社の社長が買い占めて米国に持ち帰っており、国内にはほとんど残っていない。  しかし、今回の【テマテック・アイコン】ロボットは、高さが2.5メートルという前代未聞の巨大ロボットである。

このプロジェクトの発端は、散人氏こと高城病院常務理事・高城二三男氏からの一本の電話だった。  「猪ちゃん、田邊さんの作品を、当病院が新築開設しようと現在計画している歯科クリニックの看板にしようと思うんだけど、どうですか?」という内容だった。  この時点ではまだロボットの構想はなかった。 田邊氏の作品を歯科クリニックの看板に、という奇想天外なオファーがあった事に小生は興奮し、すぐに田邊氏に電話をしたのだった。


過去に多種多様な造形作品で多くの賞歴を持つ田邊氏ではあるが、小生にとって氏の制作したロボット作品のイメージは特に強烈だった。  散人氏と田邊氏の当初の協議では、ステンドグラスを使った造形で、という案が出されていた。  田邊氏は具体的なデザインやサイズなどを検討するために、建設予定地の写真や周囲の建物の写真を撮りに島原を訪れ、歯科クリニックの建物の図面も送付してもらう事になった。 

それから約一ヶ月後に、紙を使った見事なミニチュア模型を持って田邊氏は島原を訪れた。  敷地も含めた建物の縮尺模型が白い硬紙で作られており、歯科クリニックの全貌がわかるようにしてあった。 それと同じ縮尺の二種類のオブジェの模型、さらにそれらを数倍大きくした具体的で精密な二種類のオブジェの模型・・・・・

「あれぇ〜!! ロ、ロボットじゃないですか!?」と驚愕して尋ねると、「ステンドグラスのオブジェ模型を完成させた後、建物の図面と照合して検討すればするほど、どうしてもロボットのイメージが湧いてくるのです。 従ってロボットの模型も作ってみました。 高城常務がどう判断されるか提案してみようと思って・・・」と田邊氏は答えた。
 

ステンドグラスをちりばめた直方体のオブジェ看板は、洗練されたデザインと絶妙な色彩の取り合わせで、紙の模型とはいえため息が出るような作品に仕上がっていた。  しかし、もう一方のメタリックなロボットの模型を見た時、鳥肌が立つような衝撃を受けた。

早速、散人氏にこの二つの模型を見てもらった。 ロボット模型を見た時、散人氏の表情が変わった。 「ロボットでいきましょう、決定です。」と即決であった。  「頭頂部のプロペラは風が吹くと回転するように設計します。 また、頭部とボディー内の2箇所がランプで点灯する仕掛けになります。」と田邊氏が説明した。 

かつて少年時代に夢見たロボットがそこにあった。 それは現在のようなハイテクの人間に近い洗練されたいわゆる「ロボロイド」ではなく、動きがどこかぎこちなく内部のギアのきしむ音が聞こえてきそうなローテクのロボットなのである。  表面の無機質な金属の光沢と、職人が工具を持って油まみれになって作ったようなシンプルなデザインに限りないノスタルジーを感じてしまう。  

 
上の写真は、田邊氏のフリーハンドによるロボットの展開図。  インスピレーションでこのような分解図をサラサラッと描けてしまうのだ。  田邊氏にかかればこの直筆の展開図も立派な一つの作品になってしまう。
| 【テマテック・アイコン】の試み | - | - | posted by ino-haya - -
| 1/1 |