猪原金物店・コラム明治10年に創業。九州で2番目に歴史の金物屋

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【カラクリ木工】by 大石順一・その2 16:49
昨年の12月中旬に有田の造形作家・大石順一氏が来店し「いい音の出る鈴がありますか?」と尋ねた。 「新潟のメーカーから仕入れた澄み切った音の出る真鍮製の鈴ならあります。」と店内に展示してある大中小それぞれのサイズの真鍮鋳物製の鈴を見せた。

大石氏は車に戻り何やら板状の作品を店内に抱えて来た。「結婚式のウェルカム・ボードをカラクリ木工で作りました。花婿花嫁が式場の入口で来賓を迎える時に、来賓客にこのハンドルを回して祝福の鐘(鈴)を鳴らしてもらう、という趣向です。」「エ〜!?・・・面白い演出ですね・・・」「確かこの店に鈴があったのを思い出しまして」と言いながら、大石氏は一番大きな鈴を選んで木のアームに取り付け始めた。(下の写真)



真鍮の鈴の取っ手部分をアームの溝に挿入し木製のピンでとめて固定したあと、恐る恐るハンドルを回したら澄み切った心地よい鈴の音が響き渡った。成功である。「これを持って帰って周りのフレームに花を絡ませたら完成です。明後日が結婚式なので、後で写真をお送りします。」「うわ〜楽しみに待ってます。」(下は大石氏から送付された完成写真


ウェルカム・ボードに鈴を固定していた時、知り合いの女性が速魚川の水を汲みに来ていたので見せようと思い声をかけた。彼女も感激したみたいで何度も鈴を鳴らすハンドルを回し続けていたが「私も欲しい・・・」と突然呟いた。

5人の子供の母親でもある女医さんが今さらウェルカム・ボード!? と一瞬思ったら「表札と呼び鈴の合体したカラクリ木工を作って欲しい」と彼女が言った。大石氏は快諾し有田に帰って行った。 それから年が明けすぐに大石氏が来店。例により真鍮の鈴を付けたら完成の状態で『表札&呼び鈴のカラクリ木工』を持参した。(下の写真)  
 



有田の造形作家・大石順一謹製のカラクリ木工『表札&呼び鈴』合体バージョンは、ほぼ同サイズの条件内容によって9〜6万円(税込)で受注製作している。

 
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【カラクリ木工】by 大石順一・その1 13:32
昨日夕方、有田の陶芸家で造形作家の大石順一氏が久しぶりに当店を訪れた。 木を素材にした新しいジャンルに挑戦している事は聞いていた。 大石氏は土はもとより石、金属、プラスチック、といろいろな素材を使った作品を生み出してきているが、今回の木の造形は初めての経験だという。 しかもそれに『カラクリ』の機能を加えるというドキドキする企画である。

まだ木の表面にオイルも塗ってない出来立ての白木の状態の作品を速魚川に持参してくれた。 大石氏の奇抜なアイデアや美しい造形には毎回驚かされてきたが、今回も例外ではなかった。 すぐに言葉が見つからず感動のため息しか出ない小生に、彼は作品の説明を始めた。 


何の手本もデータもなしに、図面なども作ることなく頭の中だけで三次元の作品をイメージしながら制作を始めたという。 木工機械は糸のこ盤とボール盤のみで、ほとんどの作業はカッターナイフなどの手道具を使ったらしい。 各パーツの削り出しだけで膨大な時間がかかったはずだ。 

おまけに可動部が多く、ボルトや釘などの金属類は一切使用しないので、木の素材の物理的な特性が理解できるまで試行錯誤の繰り返しだった。 「作りながら、なぜ一般機械などの回転軸の軸受け部に座金がはまっているのか身をもって理解できました。」と大石氏が笑いながら語った。 「ひょっとして、この軸にはまっている木製の小さなワッシャーも手で削って作ったんですか?!」と尋ねると、ニコリと嬉しそうにうなずいた。 

「作っている時が一番幸せな瞬間です。 楽しくて何日かは寝ずに没頭してました。」 「この可愛い犬はアンディーですね?」 「はい、生前のアンディーのイメージそのものです。 目の部分も下地を掘って埋め込んでいます。」  大石氏はアンディーと会話しながら木を削っていたのである。


台の内部に、見えるように木製の『カラクリ』が設置されている。 手前のハンドルを回すと、中央の歯車の回転運動が左右の歯車に伝達され、それぞれの軸に固定されたカムが回転して、斜めに設置されているピストンの前後運動に変換するという仕掛けである。

個のピストンとアンディーの脚がそれぞれワイヤーで連結されており、アンディーは元気いっぱいに走り始めるのである。  大石氏はそもそもアンディーの走る姿を見たくて、この『カラクリ木工』を思い立ったのではないだろうか?・・・・
 



金属のメカと異なり、木製は手のぬくもりが伝わってくるようで優しく暖かい感じがする。 昔、ハカリ(計量器)の修理をしていた頃、いつか分銅式の台ハカリのミニチュアをすべて木で作ってみたいという夢を持っていた事がある。  今回の作品で、大石氏によってその夢をかなえてもらったような気がした。 


「初めての体験で大変でしたが、大体要領が分かってきました。 次はもっと複雑なカラクリを駆使して、面白い動きをする龍を作る予定です。 11月初旬の速魚川の作品展には、この作品と一緒に出品できると思います。」と大石氏が語った。 

毎年恒例の「三人展」は、10月30日(土)から11月3日(水・文化の日)の予定だったが、佐世保のナイフ作家・松崎猛氏が直前に東京で開催されるJKG(ジャパン・ナイフ・ギルドショー)に参加するため、陶芸家・大石氏と画家・世薇好美(せり・よしび)氏の3名で開催日の調整をして、11月3日(水・文化の日)から11月7日(日)に変更されることになった。 

今年のJKGでは、まほ〜氏こと松崎猛氏と島原出身の川村龍市氏が、また何か大変なことをやらかしそうな予感もする。 がんばれ〜! まほ〜ちゃん!! がんばれ〜! ryuちゃん!!


まるで空に飛び立とうとしているようなカラクリ・アンディー。 本日速魚川において大石氏撮影のワンショット。













 


木製のカラクリ人形のアンディー(上の写真)と、生前の元気いっぱいだった頃のアンディー(下の写真)。 大石氏が同じ方向から撮っているものだが、どちらに対しても彼の愛情がにじみ出ているのが分かる。 

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