第六回「美術刀剣展」in 速魚川・その2

2011.03.22 Tuesday

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    3月11日午後3時25分に東京にいる長女からメールがあった。 「今、会社にいたけど無事です」とのメッセージ。 一瞬何の事か理解できなかったが、インターネットのトップページを覗くと【大地震】の見出しが目に飛び込んできた。 慌てて自宅に行きテレビをつけるとすべてのテレビ局が地震の報道をしており、画面に映し出される巨大津波の信じられない映像に釘付けになった。

    夢か現実か時折疑いながらアッという間に怒涛のような一週間が過ぎた。 刀剣鑑定士の松井更生氏から電話があり「とんでもないことが起きてしまいました。 老婆心ながらお尋ねしますが、このような状況で美術刀剣展は予定通りに開催しますか?」という質問だった。 「被災者の方たちのお気持ちを考えれば、今、イベントを開催するのは如何かと思います。 しかし、だからこそ我々は元気を出して決行すべきだと思います。」と答えた。 「私も猪原さんと全く同じ考えです。」と松井氏が答えた。

    もし「取りやめましょう」と小生が答えたにしても、松井氏は同じように答えたと思う。 こちらの心情を慮(おもんぱか)った彼の最大限の心遣いであることが伝わってきた。 
     



















































     

    第六回「美術刀剣展」in 速魚川・その1

    2011.03.06 Sunday

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      平成10年の4月に速魚川ギャラリーが完成した一ヵ月後、つまり5月の連休に松井更生氏のプロデュースによる「第一回・美術刀剣展」を開催してすでに13年が過ぎようとしている。 

      当店にも父が残した美術刀剣が三振りあり、時々見よう見真似で手入れをしていたが「カタナ」についての知識は皆無だった。 松井氏と知り合って、刀剣の説明を聴いても刀剣用語が分からずチンプンカンプンであった。 現在、少しずつ勉強し始めてはいるものの、逆に刀剣の世界の深さに尻込みしている。

      我々が常日頃使っている言葉の中に「刀剣用語」から引用されている言葉が多いのは、日本の歴史や文化に刀剣が与えてきた影響がいかに大きいかを物語っている。  例えば「しのぎを削る」 「付け焼刃」 「鯉口を切る」 「切羽詰る」 「焼きを入れる」 「両刀遣い」 「諸刃の剣」 「抜き打ち」 「懐刀(ふところがたな)」 「単刀直入」 「伝家の宝刀」 「反りが合わない」 「太刀打ち」 「相槌を打つ」 「折り紙つき」 「 急刃凌ぎ」 「刃折れ矢尽きる」 「抜き差しならぬ」 「元の鞘に収まる」など数え上げたらきりがない。

      刀剣用語ではないが鍛冶屋用語で「トンチンカン」はよく使う日本語。 「つじつまの合わない的外れなトンマな様子」という意味だが、本来は鍛冶屋の槌音である。 真っ赤に焼いた刃物を金槌(ハンマー)で叩いて鍛える際に、息が合っていると「トン・テン・カン」と調子の良い槌音が鍛錬場から響いてくる。 槌を振るう本人か弟子が打ち損じると「チン!」という音が混じる事から下手な鍛冶屋の事を「トンチンカン」と揶揄したらしい。 



      上の新聞記事は平成19年(2007年)当時の毎日新聞島原支局の記者・山崎太郎氏によるものである。 現在、北九州市小倉勤務の山崎太郎氏には当時公私共に大変お世話になっていた。 「島原半島内で誰か面白い人物はおられませんか?」と山崎氏から尋ねられ、即座に「美術刀剣鑑定士の松井更生さん」と答えたのだった。 

      取材を終えた山崎氏が当店を訪れて開口一番「刀剣の話も面白かったけど、松井氏ご本人に一番興味が湧きました。」と笑顔で語った。 松井氏の魅力は刀剣談義だけではなく、人生のあらゆるシーンをまるで講談を聴いているような面白さとユーモアで語ってくれることだ。 現在76歳だが全く歳を感じさせない。 夢を追い続ける万年青年である。
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