猪原金物店・コラム明治10年に創業。九州で2番目に歴史の金物屋

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【カスタムナイフ作家・松崎猛】その1 13:05
昨年の秋に地元テレビ局・NCC(長崎文化放送)の取材を受けた。 元・チェッカーズの藤井フミヤ氏と女性局アナの二人がリポーター役で来店して、店内の商品を紹介することになった。 それ以前に下見に来たプロデューサーから「藤井フミヤ氏は無類の道具マニアなので、喜ぶと思いますよ」と聞かされていた。

撮影の準備が済み、二人が店内に入って来た。 挨拶を交わした後「僕は庖丁も自分で研ぐんです」と藤井氏が言った。 それならばと店内の庖丁や砥石のコーナーに誘導して説明することになった。 ところがいつの間にか、小型マイクを付けている事もテレビカメラが撮影していることも忘れて、つい《営業モード》で商品の説明に熱中してしまったのである。  

一通りの人物撮影が終了し、マイクもはずして庖丁を研いでいると、藤井氏が「ウ~ン・・・どうしようかなぁ・・」と店内の入り口で悩み始めている。 しばらくして「買う事に決めました!」と突然、宣言するように藤井氏が声を上げた。 「エッ?・・・・何をですか?」と訊ねると「松崎猛さんの刺身庖丁を買います」と答えた。 店内風景を撮影していたカメラクルーもビックリして、撮影を一旦中止した。

その後、“松崎猛氏の刺身庖丁を藤井フミヤ氏が購入する”バージョンで再び撮影しなおす事になった。 「世界一になったナイフ作家による、世界に一本しか市販されていない、世界一切れる刺身庖丁」と藤井氏に説明したのである。 でも真実だから仕方がない。 その一週間後に九州全域で、この撮り直しバージョンが放送された。 松崎猛氏の刺身庖丁はテレビ画面を通して何十万人かの視聴者の眼に映ったのだ。

後日、プロデューサーがプライベートで来店し「藤井フミヤさんはロケ先などでは買い物をしない主義らしいです。 じゃあなぜ刺身庖丁を買ったのですか?と訊ねると『日頃頑張っている自分自身へのご褒美です』と答えました。 よっぽど気に入られたのでしょう。」と語ってくれた。 テレビのままの気さくで優しい藤井フミヤさん、刺身庖丁のお買い上げ誠に有難うございました。 ちなみに小生はテレビドラマ『あすなろ白書』のテーマソングになった貴殿の曲【TRUE LOVE】が今でも大好きです。 


上の写真は、数日前に完成した松崎猛氏による刺身庖丁。 写真技術もプロ並みである松崎氏に頼んで撮ってもらいメールで送ってもらった。 注文して完成するまで約1〜1.5ヶ月である。 ナイフに詳しい人はご存知だろうが、ナイフの重心は長時間使用しても疲れないようにヒルト(口金)部分、つまりハンドルの人差し指がかかる部分に設定してある。(人差し指でナイフ全体のバランスがとれる)

この原理を理解しながら松崎氏の作った“ナイフ作家の刺身庖丁”を観察してもらうと面白い。 軽い朴(ホウ)の木の柄に、庖丁の茎(なかご)を打ち込んだ方式である和包丁は先端に重心が置いてある。 あくまで推測であるが、西洋の刃物は「押して切る」が、日本の刃物は「引いて切る」からではないだろうか? 鉋(かんな)や鋸(のこぎり)も西洋と日本は逆である。 

そうなってくると、文化や外交面でも国によって「押す」と「引く」の違いがあるような気がしてくる。 現在、アメリカや中国、ロシア、韓国とのシビアな駆け引きが展開されているが、男女の「恋の駆け引き」や「押してもダメなら引いてみな」などの情緒的な状況とは全く次元が異なる事を、当局はホントに理解しているのだろうか? 
 


 
| 【カスタムナイフ作家・松崎猛】 | - | - | posted by ino-haya - -
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