猪原金物店・コラム明治10年に創業。九州で2番目に歴史の金物屋

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『ベニバラ兎団』 18:20
6月初旬、学生時代の劇団の友人から電話があった。「次女の乃愛(のあ)が、劇団で天草・島原に行くらしいの。あなたの事を憶えてて、是非会いたいと言っているので会ってくれる?」「島原に親子五人で来たのは14年前だったかなぁ・・・乃愛ちゃんが9歳くらいの頃だったと思うけど、よく憶えてたねぇ! 確かうちの小夏(次女)と同じ歳だったよね。東京で芝居やってるって聞いてたけど、やっぱり親の血かぁ・・・」

「なんか『島原の乱』を題材にした芝居らしくて、天草四郎の役をやるらしいのよ。」「え〜! 乃愛ちゃんが?」「で、劇団で二泊三日の天草・島原の視察旅行。団体行動だけど、なんとか調整して一人でそちらにお邪魔したいって。」「了解!そうかぁ・・あの子がもう23歳かぁ・・・元気な子だったよね。」「ありがとう、お世話になります。」

昨日の正午、榊林乃愛氏はなんと劇団員全員と共に当店に到着した。スケジュールを変更してもらったのだろう。緊張気味に店内に入ってきた乃愛ちゃんは、9歳の頃のボーイッシュな少女の面影はなく、凛とした眼差しの奥に豊かな感性がにじむ美しい女性になっていた。

彼女の両親とは、30数年前に同じ学生劇団でテネシー・ウィリアムズとかチェーホフ、ブレヒト、アルブーゾフ、井上ひさし、木下順二などの芝居を一緒につくっていた。両親とも才能あふれる人物で、団員50名ほどの大所帯を率いるリーダー的存在だった。より良い芝居を創るために狂気じみた激論も随分交わしたなぁ・・・

7月31日から8月4日まで、東京渋谷青山通りにある青山円形劇場で上演予定の『パライソの海』は今月下旬から舞台稽古が始まるという。入団3年目で最年少の乃愛ちゃんが天草四郎をどのように演じるのだろうか? 昨日、島原の乱の終焉の地である原城跡に立った彼女は、どのようなインスピレーションを受け取ったのだろうか? 




いよいよ今月、富士山が世界文化遺産に登録される。世界のお宝としてお墨付きをもらうことで、世界中から富士山を目指して多くの人が集まると、今後どのような現象が起こるのだろうか? 同様に、『長崎の教会群とキリスト教関連遺産』の世界遺産登録への気運が国内で高まっており、再来年の2015年には実現する可能性が濃厚になっているという。

この『長崎の教会群とキリスト教関連遺産』の中に島原半島(南島原市)の原城跡と日之江城跡が含まれている。急激な過疎化と老齢化による地元経済の危機的状況を活性化させる起死回生、千載一遇のチャンスと地元では期待が広がっている。世界史に残る『島原の乱』の舞台となった原城跡と日之江城跡。現在、世界のキリスト教徒の数は人類の3人に1人、つまり21億人といわれる。もし世界遺産に登録されたら、単なる観光の目的になりがちな他の世界遺産と異なり、キリスト教徒巡礼のメッカになる可能性もある。

ところが、この原城で殺害された2万7千人のキリスト教徒は、現在でも【殉教者】と認められていない。現在、世界一の権力を持つといわれるローマ法王を擁するバチカンは『島原の乱』を単なる農民一揆としている。これでは367年前に原城で死なざるをえなかった2万7千人の魂は、果たしてうかばれるだろうか? 世界遺産登録による経済波及効果のカネ勘定をする前に、考えなくてはならない根源の問題があるような気がする。




 
| 『ベニバラ兎団』 | - | - | posted by ino-haya - -
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