『 マエストロ 石井高の世界 』

2015.04.09 Thursday

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     昨年の9月17日、一人の熟年男性がふらりと店内に入ってきた。帰る列車の時刻までわずか15分間しかなかったが、我々は手道具についての深い話を交わした。彼が、ヴァイオリンのメッカであるイタリアのクレモナで45年間、ヴァイオリンやヴィオラ、チェロ、ルネッサンス楽器などの研究製作をしている世界的に有名な【マエストロ】だと知ったのは翌日だった。むしろ、彼の優しく穏やかで誠実な人柄と深い教養や哲学に感銘を受けて、別れ際に「是非、またお会いしたいです」と握手を求めたのだった。

    その日のうちに再会を誓う丁寧なメールを頂き、半年後の今月2日に再び、何の前触れもなくふらりと立ち寄ってくれた。現在、長崎歴史文化博物館の館内に開設した工房で楽器の調整、修理、鑑定をされており、休館日を利用してわざわざ島原まで足を運んでくれたのだ。正式な【マエストロ】の称号を持ち、ヴァイオリンも演奏する石井高氏とはいえ、これほど道具に関する広く深い造詣を持つ人物に会ったことはない。「浅学なまま終わってはいけない、もっと学べ!」と神様に言われているような気がした。

    現在、制作注文を受けているヴァイオリンに彫刻を施すように依頼された石井氏は、そのための彫刻刀を一本購入してくれた。「今度は泊りがけで島原に来ます」と握手しながら約束して彼は島原駅に向かった。当店で知り合う多くの人達から現在もいろんな事を教わっている。還暦を過ぎてまた一人、知らない世界の扉を開けてくれる師匠(マエストロ)に出会うことができた!感謝である。


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        石井 高(いしい たかし) プロフィール 
     
     
     1943年(昭和18年)9月5日、兵庫県生まれ
          姫路近郊、斑鳩太子堂滞在の後上京。東京下町育ち。
           本籍 東京都港区芝1丁目、元金杉浜町 
     
     1950年(昭和25年) 東京都杉並区立高井戸第四小学校に入学。
           荻窪小学校に転校。
     
     1953年小学3年で足立区立千寿第四小学校に転校。
           同区立第十六中学校を卒業後、
           東京都立上野高等学校(元東京市立二中)に入学。
     
     1962年(昭和45年新14期生)として卒業。
           同年東京理科大学応用化学科に入学。
           中退後国家公務員技官として東京大学応用工学研究室に奉職。
           後ヴァイオリン製作を志し
          東京世田谷の笠川貞道先生の工房に住みこみ5年間徒弟として修行。
     
     1970年(昭和45年)3月横浜から出航。ナホトカに上陸後
           シベリア鉄道でバイカル湖まで、後にシルクロードのサマルカンド、
           トビリシ、キエフ、モスクワ、レニングラードを経て北欧入り、ラップランド、
           北極圏、ヨーロッパ全域、ジブラルタル海峡からアフリカ、モロッコ、
           サハラ砂漠、ポルトガル、スペイン一周後、8月8日クレモナに着く。
           同年イタリア国立国際クレモナヴァイオリン製作学校に入学。
           師匠はPietro Sgarabotto教授。助手はBissolotti、Morassi。
     
           卒業後プロとしてのヴァイオリン製作10年、技術、
           公的な推薦の条件がそろって、1975年、当時の厳格な審査の後
           マエストロとなる.推薦したのはクレモナ市長と
          現代の名匠Ferdinando Garimberti先生
           (ミラノの工房では特にニスとニス塗りを教わる。)、
           PietroSgarabotto先生(Antoniazziからの古式製法を教わる)。
     
     
     現在はオリジナルヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、ルネッサンス楽器、および
     チェロの音域に近づけたヴィオラの研究製作。
     各地での講演会、展示会、個展での作品の発表の他に
     ストラデイヴァリ、ガルネリを初めとした名器の修理、鑑定もしている.
     
     日伊文化交流にも尽力.「文化庁芸術祭大賞」受賞のNHKドラマ
    「川の流れはヴァイオリンの音」、(撮影クレモナ)
     「アンダルシアの虹」(撮影スペイン、グラナダ)
    それぞれ助監督、「市川猿之助イタリアへ行く」(撮影イタリア、ボロ−ニャ)
     「NHK名曲アルバム」、(イタリア各地)など多くの作品のデイレクター、
    コーデイネエーターもつとめた. 
     
     1980年クレモナ市民賞(ストラディヴァリ賞)受賞.
     1984年、浩宮(現皇太子)殿下御来伊の際クレモナを御案内。
     1985年東宮御所にお招きあり客室にて現天皇、皇后両陛下、皇太子殿下と茶菓にて歓談。
     1993年、天皇、皇后両陛下にはミラノにて在伊日本人代表の一人として、
           親しく音楽や楽器についてお話をかわす栄誉を賜った.
     
           1982年ごろから始めた“天正少年使節がイタリア、スペイン、
           ポルトガルから日本に持ち帰り聚楽第で秀吉の御前で演奏した
          楽器の想像復元”を7年余の歳月をかけて1989年9月に完成.
           これらの楽器は現在長崎県立美術博物館、宮崎日南市記念館、
           浜松市立楽器博物館に所蔵されている.
     
     
     完成後「秀吉が聴いたヴァイオリン」をテーマタイトルとして
    各地で講演会、コンサートなどの開催した.
     
     東京イナックス「甦る天正古楽器の音色」、「名古屋デザイン博覧会」、
     「長崎旅博覧会」、「大阪IMPホール さだまさし、いしいたかしの時空を超えたコンサート」、
     「埼玉県草加市アコスホール」、「仙台青葉城址県立博物館」、「埼玉県さいたま芸術祭」、
     「東京芸術大学奏楽堂」、「東京御茶ノ水カザルスホール」、「ミラノ サン-フェデ−レホール」、
     「ミラノ トスカ邸デザインセンター」、「クレモナ サン-ダニエレホール」、など.
     
     1998年、お約束のとおり皇太子殿下にヴィオラを製作、現在御愛用。
            (公式なら献上、ぼくの場合はプライベートなので「お預かり」という名目。
    2005年、愛子様に子供用1/8ヴァイオリンをお渡しする。
     
     2009年、長崎歴史文化博物館にて2回のトークショー、館内で工房開設、
            楽器の調整、修理、鑑定をする。この時「ながさき音楽祭」で初演した創作楽器、
            ヴィオラ ダ オーラ(胴体はルネッサンス古楽器、ピッチは40.5cmのヴィオラ)は
           大好評で今後ヴィオラの新しい形式として成功を収めると確信している。
     
     2010年、ヴァイオリン生活45年、クレモナ永住40年目を迎えた。
            2015年には50年記念祭を計画している。
     
     2010年から長崎の他に広島でも工房を開設し弦楽器の調整、修理を行う。
    この二カ所では毎年秋工房開設予定。他市でも開設希望。
     
     
     家族は妻ジュゼッピ−ナ(1953、10月.)、長男アンドレア(1982年12月)、
          長女ジュリアーナ(1986年7月)。
     趣味は勉強雑学、読書、音楽特に室内楽、落語、焼き物、ラジオ製作、
          写真(愛器はライカM3、M4、ニコンF, F3).
     
     著書 「Il Liutaio」, (イタリア コンベーニョ社、 「秀吉が聴いたヴァイオリン」 
         文庫本 三信図書、(増刷第2刷)、主婦の友社刊単行本は絶版。
         純金CD「400年前の音楽と古楽器」など.活動は多くの新聞、雑誌等に掲載。
         またヴァイオリン関係、天正少年使節、日・伊文化関係の執筆,寄稿多数。
     出演番組;NHK英語講座(昭和34年内幸町スタジオ。初めての放送出演)、海外レポート、
            635,845生ニュース、ラジオジャパン、ETV8,世界ふしぎ発見、音楽は世界だ。
            BSジャパン「ストラディヴァリ」、スマステ、NHK、千住まり子の「トリエンナーレ」、
            長崎NBC放送、NHK長崎作品所蔵、長崎歴史文化博物館、 浜松楽器博物館、
            宮崎小村寿太郎記念館、マリオ・マッジ古楽器収集館。
     
     個人 皇太子殿下、愛子様、さだまさし、C.Barzeretti,M.Maggi,O.Scilla,
         オランダ王室オークス伯爵、など多数
         イタリア ヴァイオリン芸術協会会員

     

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