猪原金物店・コラム明治10年に創業。九州で2番目に歴史の金物屋。
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【テマテック・アイコン】の試み・その3 17:32
鏝絵職人・佐仲忠敏氏は数ヶ月前から、今回の鏝絵の構想、デザイン設計、具体的各パーツの制作を進めるために、自宅納屋の床に現場と同じサイズの壁をベニヤ板で制作し、その上で厳密なシュミレーションを繰り返したという。  現場での失敗は絶対に許されないからだ。

万全の準備が整えられ、いよいよ地上7,5メートルの足場で鏝絵の制作が始まった。   恐らく長崎県下で史上最大の鏝絵プロジェクトになるはずだ。



上の写真は、漆喰壁に鏝絵の描かれる位置を決め、同時に壁自体を汚さないようにガムテープで養生を施している場面。  この上にどのような立体造形が描かれるのか?  現時点では佐仲氏の頭の中にしか存在しない。 


自宅ですでに作られた鏝絵の基礎となるモルタルの造形パーツが、足場の上に並べられている。  漆喰壁に直接設置される龍の頭部や雲流が確認できる。  この製作工程に関しては佐仲氏は詳しくは教えてくれなかった。  魔術師にマジックのネタを教えてくれ、とか人気ラーメン店に出汁のレシピを教えてくれというのと同じである。


佐仲氏の軽トラックの荷台には、モルタルの龍の胴体部分が載っている。  龍のダイナミックな胴体のうねりや動きが垣間見れる。  どんどん期待が膨らんでいく。


いよいよ二人がかりで漆喰壁にモルタルの原型が設置固定されていく。  段取りが良いので作業は非常にスピーディーかつ正確である。  モルタル原型と壁面との接着剤には漆喰を使う。  さらにその上からステンレスの木ビスをねじ込み、より強固で完璧な定着を目指す念の入れようである。 


既存の漆喰壁の上に再び漆喰が塗られ、経年変化によってモルタル原型と剥離しないように接着面を確実に強固にしていく。   写真は雲流の箇所を作業している様子。

 

モルタル原型の裏面、つまり漆喰壁との接着面にも漆喰を塗る。  鏝絵と漆喰壁の間に隙間が絶対にできてはならないからだ。 
 

漆喰を塗った後、厚みを均等にするためクシ目のヘラで綺麗に撫でて整える。  


漆喰壁に設置固定したモルタル原型は、「ビニマスカ」という薄い膜状の養生材で覆っていく。   漆喰が硬化し定着する次の工程まで雨風や汚れから本体や漆喰壁を保護するためである。


いよいよ龍の胴体が取り付けられる。    かなりの重量なので漆喰だけの接着は不可能である。  長いステンレスのビスを本体と壁面にねじ込んで貫通させ接着強度を高める。  数十年以上の風雨に耐える強度である。  


胴体を固定した後、頭部と雲流とそれらをまたぐ胴体との全体のバランスをチェックしモルタルで肉盛りしていく。  胴体は仮の固定であり、再度取り外されて佐仲氏が自宅に持ち帰る。  胴体だけは空中に浮く立体なので漆喰による仕上げまで自宅で行われる。  何度も胴体の付けはずしが繰り返され、次第に出来上がっていく。
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