猪原金物店・コラム明治10年に創業。九州で2番目に歴史の金物屋。
金物店の裏では喫茶店も営業しています。

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【テマテック・アイコン】の試み・その5 00:22
 鏝絵職人・佐仲忠敏氏の鏝絵は完成した。   約半年間、佐仲氏を中心に進めてきた今回の鏝絵制作プロジェクトには、あらゆる場面で多くの人達の協力が反映されており、共時性(シンクロ二シティー)を感じずにはおれない。

その店や企業、地域、団体、組織などの基本理念(コンセプト)や主題(テーマ)を、一目瞭然の目印(アイコン)に 集約する事で、より強烈にわかりやすく第三者に伝達することの重要性。   その【テマテック・アイコン】の試みは一応完成した。   しかし、【テマティック・アイコン】は飽くまで有効な伝達手段であり、大切な事はその旗印の元で展開される人間の意志と具体的な活動であると思う。   


 
龍の鏝絵は北側壁面に設置されたので、直射日光は当たらないと思っていたら、沈みかけた西日がわずかな時間だが当たることがわかった。   写真は夕方の鏝絵である。   陰影が出来ることで龍がより立体的に浮き上がって迫力が増していく。   

 
 今年3月の初め頃、ほぼ鏝絵のモルタル原型が出来上がった時、二頭の龍の中央に丸い大きな渦の造形がつけられていた。   「これは一体なんですか? 雲ですか?」と佐仲氏に尋ねた。  鏝絵職人は「これは、エネルギーの渦です。  ここから、この速魚川や島原から大きなエネルギーが生まれてどんどん日本や世界に広がっていくイメージで作りました」と答えた。   感動して言葉が出なくなった。  佐仲氏は寡黙ではあるが、そこまで考えてくれていたのである。

この丸い大きな渦はやがて灰色を基調とした漆喰で仕上げられ、濃淡のグラデーションが施された。  これは、手描き友禅作家・尾崎尚子氏のタペストリー作品「メール・ストローム(大きな渦)」とほぼ一致する発想であった。  もちろん、佐仲氏は尾崎氏の作品を見てもいないし、聞いてもいなかった。  ここでも共時性いわゆるシンクロ二シティーが働いたのだろうか・・・・・


一方通行によって当店を確認する事が困難だった状況が、北側壁面の改修およびテマテック・アイコンの創出によって解決したが、当店名の看板掲示によってその効果は完成する事になる。    看板の文字は、当店にとって福岡の書道家・井上龍一郎氏以外には考えられない。

二つの看板のうち「合資会社 猪原金物店 創業明治10年」は、龍一郎氏の思いのまま自由に書いてもらうことにした。   もう一つの看板「茶房&ギャラリー 速魚川」に関しては、「速魚川の文字は、魚をイメージして書いてください」と注文をつけた。   約一ヵ月後、看板の書が福岡から送られてきた。   龍一郎氏渾身の書であった。   当店の状況や理念、想いなどをすべて表現してくれており感動した。  しかも看板文字の書をそれぞれ何通りか書き分けて送ってくれていた。  

それぞれが秀作で、選定するのに悩んだ末、その中の一つを選び、龍一郎氏に連絡した。  「私もその考えに賛成です」と言ってくれた。   そうなってくると選定されなかった秀逸な書も捨てがたくなる。  看板に書を彫り込むので、墨の薄く「かすれた」微妙な表現の書を選ぶのは困難になってくる。  その理由で選定からはずされた作品のひとつを龍一郎氏がわざわざ表装して記念にプレゼントしてくれた(写真の一番上)。   感激したと同時に、家宝にしたいと思っている。

 

 

 

祖父の代から三代目の左官・佐仲忠敏氏。  18歳の時、「鏝絵」に魅せられた。  一人前の左官になって、いつか「鏝絵」を描きたいという夢を持ったという。  2003年に当店正面の二階の外壁に龍の鏝絵を描いた。  佐仲氏にとってこれが処女作にあたる。  それから7年。  今回、同じ龍を描いてもらったが、佐仲 氏の鏝絵はまた進化を遂げていた。  

市内にも佐仲氏が描いた鏝絵が数箇所ある。  「打ち出の小槌」や「松竹梅」などそれぞれが秀作である。  現在58歳の鏝絵職人は、これからが旬である。  佐仲氏が元気なうちにどれだけの鏝絵を島原半島に残せるだろうか?・・・・ 


           
平成の鏝絵職人・佐仲忠敏(さなか・ただとし)

           長崎県島原市中野町1292番地在住

           電話 : 0957−63−2136

           携帯 : 090−2391−1475
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